平成20年12月議会一般質問 |
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(1)次年度の予算編成と財政見込み
(2)特別支援教育の充実
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平成20年も残すところわずかとなりました。私が本議会で取り上げるのは財政と教育にかかる2議題です。はじめに「景気後退が予測される中での財政見込みと次年度の予算編成について」、そして「自閉症や発達障害児など特別支援教育の充実について」であります。
早速、「景気後退と今後の財政見込みについて」質問に移ります。
ご承知のとおり、サブプライム問題に端を発するアメリカ発の金融危機は、
一挙に世界市場に拡散しました。世界規模の証券、銀行、生保はじめ、日本でも各企業の9月決算は軒並み急激な減益となり、10月以降の株価凋落によって、減益幅は予測不能といいます。
元気な愛知の象徴であったトヨタ自動車も、09年3月期の連結業績は前期比73.6%の減益、5月時点の当初予想からすると1兆円の減額、100万台の及ぶ生産台数の削減止むなきとのことであります。急激な円高も利益を圧迫し、短期雇用・派遣労働者には、既に予告なしに等しいリストラが始まっていますし、この地域に多いトヨタの下請け、孫請けの企業は受注調整によって、まったく先の見通しが立たないという状況であります。
このような経済状況の中、豊田市では、トヨタ関連の市税収入440億円が半減すると見込んだものの、とてもそれだけでは済まないと再度の下方修正で、鈴木市長からは、査定済みの予算要求にも一律35%削減の指示がなされたとのことであります。刈谷市、安城市と近隣各市も、相次いで市長自ら「減収に伴う財政の見直し」を明らかにしています。
翻って、西尾市では、どのような見通しを立てておられますか。
中村市長は、この3年間、税収の増加をわが手柄のようにおっしゃり、3か年計画にもないようなハコ物建設事業を進めてこられました。次年度はもちろん、今後数年間の税収の減少は、もはや明らかであります。法人の税収減だけでなく、中小事業者の倒産すら懸念されております。西尾市としても、これまでのような「行け行けドンドン」の大盤振る舞いを改め、市民生活に影響を与えない市政運営を行っていただかなくてはなりません。
この未曾有の景気後退は、これ以上はない「暗い暗い話」であります。しかし、これを「暗い、暗い」と切り捨て、問題をすり替えて済む問題ではありません。暗い話を明るくするのが、市長であるあなたの仕事であり責任です。まさに現在、トップリーダーとしての見識が試されております。
次年度は、これまでのように財政調整基金を毎年20億も25億円も使い込み、後で戻しておけばよいという安易な予算編成などは、もっての他であります。よもや、残る任期10か月をこれまでの調子でいこうなどということはないと思いますが、この難局をどのように乗り切る覚悟でおられますか。
市長ご自身の認識を市民に明らかにしていただくよう求めて、5項目、質問をいたします。
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質問要旨
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4)
5)
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アメリカ発の金融危機によって、急激かつ長期にわたる景気後退が予測され、当分の間、税収減が続くといわれていますが、市長は承知しておられますか。
豊田市では、次年度税収が大幅減と聞きますが、本市ではどのように見込んでいますか。
当然、わが市でも次年度予算編成においては、かなりの税収減を織り込んだ見込んだものにすべきと思いますがどうですか。
新庁舎・新体育館など大型建設事業のラッシュで、今後、公債が増加する一方、大量の定年退職者への支払いもある中、税収減によって、福祉費や教育費など市民サービスに直結する予算を圧迫することになるのではありませんか。
3か年計画、10か年計画を見直す必要がありませんか。
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2.特別支援教育の充実について
次の議題は、「自閉症や発達障害児など特別支援教育の充実について」です。
2005年4月から「発達障害者支援法」が施行され、2007年4月からは正式に「特別支援教育」がスタートしています。
発達障害というのは、学習や日常生活において人とのコミュニケーションに困難を抱える子どもたちのことをいいます。学習障害や高機能障害、自閉症、アスペルガー症候群などその症状は多種多様ですが、具体例をあげるなら、ちょっとした音にも敏感でパニックをおこしてしまうとか、人の気持ちを推し量ることができなかったり、苦手である、うまく言葉で表現できなかったりということがあります。幼い子どもたちにはありがちなことですが、反面、得意なことにはすごい力を発揮する、記憶力がとてもよくて植物図鑑の植物の名前をすっかり覚えてしまう、あるいは、算数や数学に非常に優れているなどの例もあります。
共通するのは、集団生活になじめなかったり、情緒の発達にアンバランスがあるなどで、これまで多くは「親のしつけの問題」とされてきましたが、近年は研究が進み、「ゆっくりと発達」する子どもたちと捉えられています。
文部科学省でも、こうした子どもたちが全国的に非常に増えていることを重くみて、国を挙げて支援体制を強化し、彼ら特有の「苦手なことや困っていることの原因」をさぐり、理解した上での対応を進めるよう、各自治体と教育委員会に求めております。
実際、3歳から5歳位までで大方の判断がつくようですが、適切な時期に適切な援助があれば、落ち着いて学習ができる度合いも高くなること、社会生活にも適応していけることは学術的にも実証されています。かのエジソン、アインシュタインも発達障害であったということは有名です。しかし、一般的には、まだまだ、こうした障害自体が社会的に認識されるに至っていないことは大きな課題であります。
わが市でも、19年度から、管理職や特別支援学級の先生がコーディネータとなって、学校内外の調整や指導、保護者との相談を密にするべく頑張っておられますし、小学校には「学級適応支援者」が1名置かれています。授業中、落ち着かなかったり、パニックに陥って急に教室を飛び出したりするなど緊急的な対応が必要な子どもさんに個別に付き添って指導する形や学校を挙げての努力に、私も敬意を表するところであります。
しかし、如何せん、こうした子どもたちの数に比べて、支援者の数が少な過ぎるのではないでしょうか。文部科学省の公式見解では6.3%とありますが、有識者、また、実際の学校現場では10%を超えるといいます。西尾市の小中学校の児童生徒は9900人ですから、およそ1000人となります。子どもたちは特別支援学級だけでなく、通常学級にも多く在籍しており、1000人といえば、大規模校1校分にも相当することになります。
昨年、私は、所管の厚生教育委員会で、広島市、今治市などを視察させていただきました。これらの市でも課題は同じく、通常学級に在籍する子どもたちの障害に応じた支援の体制づくりに心を砕いておられましたが、広島市では、幼児期から高校までの、障害のある児童生徒全体を包括する「基本計画」を策定することで全市的な取り組みに位置づけ、いくつもの対応策を平行して講じていました。
まずは、緊急的対応の強化です。対象となる子ども1062名に対して、配置1年目に51名だった学級適応支援者の数を2年目には199名に増やしており、さらに増員する予定とのことでした。1062名というのは、発達障害との診断がなされている数だけで、まだまだ相当数の対象児童がいると捉えているとの報告でした。さらに、先生方の研修としては、初級・中級・上級と段階を分け、障害に応じた個別指導をはかれるようにし、各学校や幼稚園、保育園には、医師による巡回指導を実施することで、教員にも保護者にもタイムリーな支援が可能となり、成果に繋がっているとのことでした。
教育予算については、これまで、校舎の改築や耐震補強などハード面が優先されてきましたが、大方が完了した今、重要なのはソフト面であり、人の増員であります。緊縮予算の時ほど、教育には格別の配慮が求められるのは古今を問いません。市長がおっしゃる「米百俵」の例えであります。
小1プロブレムや中1ギャップへの対策も同様です。教室を落ち着かせ、学習環境を整えるために待ったなしの問題について、私の質問は7項目です。具体的な取り組みをお聞かせ下さい。
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質問要旨
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4)
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6)
7)
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集団生活になじめなかったり情緒の発達にアンバランスがある等、特別な教育的支援を必要とする子どもたちの数は急激に増え、その数は全体の10%ともいわれていますが、学校や保育園などにおいて対応は充分できていますか。
対策として、19年度から「学級適応支援者」が各校1名配置されていますが、充分とはいえないのではありませんか。
要支援児童には早期に適切な支援があれば、落ち着いて学習できる度合いが高くなるため、文部科学省では、それぞれの障害に応じた個別の「教育支援計画」を要請していますが、実施状況はどうですか。
義務教育の間に適切な支援を進めるためには、幼稚園・保育園と小学校、小学校と中学校間の連携強化が欠かせないと思いますが、充分に行われていますか。
短期雇用の非常勤教員も増加する中、全教員がこうした障害への対応を習熟するためには、いつでも一定程度の研修を受けられる体制が不可欠と考えますがどうですか。
医師や心理士を含む「専門家チーム」が学校を巡回し、タイムリーな相談・指導ができる体制をつくるべきと思いますが、どのようですか。
西尾市としても「特別支援教育基本構想」を構築し、学習環境の整備、支援体制の確立を図るべきではありませんか。
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