平成19年9月議会一般質問


(1)市民病院の院内感染対策について
        (2)入札制度の改善について              
        (3)学校図書館と市立図書館の充実について    

 


 この夏は、地球温暖化による厳しい暑さとともに、私たちの身の回りの社会生活の中にも、どこか抗いがたい不安定感を感じる夏だったように思えます。全国各地で発生する地震もそうですし、年金問題と増税感、介護不安、子育て不安などに表れ、一向に収まらない政治不信もありましょう。

 市民が安心して働き、子を育て、働き終えたあとは、ゆったりと憩える日々の営みが保障される国づくり、まちづくりが、今こそ強く求められていると私は思います。
 そこで、この9月議会にあたり、私は3議題について質問いたします。第1は、市民病院の院内感染対策、第2は、このところ問題が続く入札制度、そして、3番目の議題は、学校図書館と市立図書館の充実と連携についてであります。

 まずは1番目の議題、市民病院の院内感染対策についてです。さる7月19日、朝日新聞に「西尾市民病院で2月下旬、VRE28人が院内感染。全員検査実施せず…医療スタッフにも感染があり、院内全体の保菌状態を把握しないと危険」との報道がなされました。VREというのは、多くの感染症をおこす病原菌の中でも抗生物質がほとんど効かないとされる「バンコマイシン耐性腸球菌」の略称であります。

 この記事を読んだ入院患者、また、その家族の方々の驚きはいかばかりだったでありましょう。私も、まったく寝耳に水のことでしたから、すぐに、市長と病院長に対し、議員全員への詳しい説明を求めました。ところが、執行部は、担当の委員会だけを招集したものの、病院長の出席もないまま、「それほど重大な問題ではない。規準に応じた対処をして、既に6月に終息し、沈静化している。」と繰り返すのみで、市民に対する事情説明をする必要もないとの態度でありました。

 本院内感染による発症者はこれまでのところ出ていないというのは不幸中の幸いですが、保菌者はその後の判明を含めた30名から、陰性化した方が6名、亡くなられた方が5名といい、現時点での保菌者は入院者3名、退院後通院している方が14名、保菌を連絡済みで他の病院に通院している方は2名とのことであります。  

 しかしながら、今回の院内感染で明らかになった問題点は大きく2点あります。
 1点目は、入院制限を行わなければならないような重大かつ、病院としては初めての病原菌の院内感染が発生しながら、その事実が隠されていたこと。
 2点目は、新聞報道によって、この院内感染が明らかになり、かつ、その時点で病院の対応に疑義が呈されたにも関わらず、病院側は、重大な問題ではなく終息していると繰り返すのみで、積極的に患者や家族、市民の不安を取り除くための措置を講じなかったことであります。

 特に、患者だけでなく医療スタッフに感染者がいた事実に重きが置かれず、当該スタッフは保菌者のまま、すぐに通常業務に戻ったのみならず、他の医療スタッフ全員への検査はなされませんでした。また、入院者への検査も充分かどうかの疑問も呈されたままだったことです。市民病院が院内感染かどうかの特定を依頼した国立感染症予防研究所からも、さらに院内の保菌状態を調べるようにとの助言があったにもかかわらず、臨床病院と研究機関とでは考え方が違うとの判断で、これを退けてしまっています。

 これでは、通常よりも危険度の高い院内感染が発生した場合の、病院長ひいては市長の危機管理としてお粗末であったと言わざるを得ません。病院内では、しばしば院内感染は発生しうることは、私も承知していないわけではありません。また、市民病院の評判が悪くなることを懼れられたのであろう察しもつきます。しかし、事実の隠蔽は、回復できない信頼の失墜を招くのです。風評被害を懼れて公表を避けて、また、そのことが却って風評を呼ぶことになったら手がつけられなくなる。これを、私は心から心配するのです。この新聞報道の直後、私のもとには複数の市民から「入院中だが、病院は大丈夫なのか。」とか「以前、あと2、3日で退院と言われていた親が急に容態が変わったといわれ、あっけなく肺炎で亡くなってしまったが、院内感染だったのではないか。」などの声が寄せられています。

 また、今回の対応でもうひとつ、私が声を大にして申し上げたいのは、病院を支える多くの医療スタッフ自身の安全も同時に守らなければならないという点ですが、その点の配慮も充分であったのかどうかです。彼らの士気が下がっては、これまた病院経営は立ち行かないのですから、このことについても、私は非常に心配をするものであります。

 しかし、その後8月には、改めて県から、さらなる対応策を講じるよう助言を受けておられるとのことですので、今回のピンチをチャンスに生かすべく、具体的な検証と分析の結果はどのようであったか、そして、それによる改善策を市民にお示し下さい。
 では、質問をまとめます。

質問要旨
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  2月末に発生した「バンコマイシン耐性腸球菌」の院内感染に対する措置は何ら問題がなかったのですか。

  特に、医療スタッフも含むような院内感染が発生した場合は、直ちに適切な措置をとると共に、市民に正確な情報を公表すべきと思いますが、どうですか。

  前記院内感染について、公表が遅れたのはなぜですか。

 公表が遅れ、また不充分であったことで、却って風評被害が拡大するとは考えなかったのですか。

  今後、患者および市民の信頼をどのように回復するのですか。

 今後の院内感染対策はどのように改善するのですか。

2.入札制度の改善
  2つ目の議題は、入札制度の改善についてです。
 これまた、先に新聞報道がなされもので、多くの市民から、いったい西尾市の入札はどうなっているのかとお叱りを受けている事件です。
 昨年末の市庁舎の建設工事の入札において、1社だけが応札したという異常事態であったにも拘わらず、その業者と契約してしまったことに市の内外から不審、不信の声が上がりました。 

 そうした中、この5月「はしご付消防車」の新規購入にあたって、6社による指名競争入札を実施したところ、予定価格の約72%の1億1900万円で落札した業者が、落札直後に納入が遅れるとして辞退や納入期限の延長などを申し立て、市もまた優柔不断な対応のまま、3カ月もの期間を無駄にした挙句、同社の契約は不履行。やり直し入札の結果、別の業者が1億7110万円余で落札しましたが、その価格差は、初回よりも更に800万円も高い5200万円となってしまいました。市は、再入札にあたって、若干の仕様変更を行ったようではありますが、当初から、その仕様で納入できるのは限られた業者のみといいますから、再入札となれば、最高値で決まることが見えていたというのも、市民には理解に苦しむところであります。

 なぜ、このような理不尽かつ不可解な入札と契約不履行という事態を許すことになったのか、市長の責任は重大であります。辞退した業者は、別の自治体に、わが市の発注と同種のはしご車を納入するというのですから、西尾市の入札は、業者たちから馬鹿にされているんじゃないかという市民の声は当然でしょう。市長は、これをどう聞いておられますか。

 対応として、問題は2点あります。
 まず、入札に関しては、落札させた時点で、業者との契約は成立しています。契約内容を変更して特定業者の利益をはかることは許されませんし、そのような申し入れには最初の段階から毅然とした態度で臨むべきであり、3カ月もの迷走を許すべきではなかった。こんなことは初めてだ、前代未聞だと、市はおっしゃいますが、それは余りに情けないのではありませんか。

 業者がどうであれ、市として、充分な契約要件を定めておけば、今回のような迷走は避けられたはずです。市民の利益を損ない、信頼を失うことにはならなかったのであり、市長や消防長には減俸などの処分がなされて然るべきであります。

 今後は、応札業者には、すべて、応札保証金を積ませ、契約履行を促す担保となし、これを厳正に履行すべきです。一般競争入札には見積もり金額の5%と定められており、指名競争入札でも準用されるものではありませんか。今回のような不履行の場合、当然、保証金は没収、別途、違約金の請求も考えられたはずであります。

 そして、もう1点。指名競争入札において「応札者が1社しかなかった場合は、入札は成立しない」と、あらかじめ決めておくべきです。
 今、公共事業に対する不信、特に、市長の公共事業に対する姿勢への不信を口にする市民が極めて多いことを憂うものです。市民の信頼を回復し、再びこのような事態を繰り返さないために、早急に、安易な応札を防ぐ入札制度の改善を行うべきです。市長の誠実な答弁を求めて、5項目を質します。

質問要旨
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 今回の「消防はしご車」の入札については、どこに問題があったのですか。

 基本的に応札者には、応札保証金を求めるべきではないのですか。

  指名競争入札において「応札者が1社しかなかった場合は、入札は成立しない」と、あらかじめ定めておくべきと考えますがどうですか。

 「消防はしご車」入札にかかる混迷で、市は、市民に多大の心配と損害をかけましたが、何らかの処分をなすべきではありませんか。

  失われた西尾市の入札制度への信頼、市民の信頼をどう回復するのですか。


3.学校図書館と市立図書館の充実と連携について
 わが市においては、平成15年の法改正に歩調を合わせて、学校図書館に司書が2名配置されました。当初は週3日計12時間の勤務で、給与も年間50万円に満たないものでしたが「専門専任の人のいる図書館づくり」への教育長、市長の理解に加え、現場の先生方と配置司書の努力、ボランティアさんや市民の会の後押しが功を奏し、現在は週5日7時間の臨時職員雇用となって、たくさんの子どもたちが笑顔で図書館に来てくれていることを大変喜んでおります。

 また、市立図書館との連携では、2年前から団体貸出を支援する配本サービスの開始と、市立図書館に学校図書館対応の司書が雇用されたことで、現在、各小中学校の図書館整備が進められようとしていることに敬意を表するものです。

 ことに、昨年、「子どもの読書活動推進計画」が策定され、地道ですが、ジワジワと効いてくる教育施策が着実に進められることは、重要です。これまで学校への予算は、ともすれば、ハード面、すなわち校舎の改築や機器の整備に追われていました。私も、地震対策に目処が立たないうちは、やむを得ないと考えても来ましたが、少人数学級や発達障害児への加配などをはじめ、ようやく、人の配置に力点が置かれてきたことを実感しています。この計画のなかには、幼児期から、親も子も本に親しむブックスタート事業も含まれており、まさに、西尾市の将来を担う「人材の育成」であり、市長が公約で言っておられる「子育て支援」でもあります。

 文部科学省は、この計画策定をはじめとして、この5年、積極的に子どもたちの読書環境、教育環境の整備を具体的に示し、予算化も進めているのは、皆さんも既にご承知の通りです。
 最初に学校図書館司書が配置された西尾中学校では、司書教諭による司書との協働の成果レポートが、一昨年の愛知県教員組合の研究大会で優等となり、教育研究全国集会で報告の機会を与えられたと聞きます。その意味で、わが市の学校図書館においては「人の存在」が不可欠であることは実証されており、さらに、その意義は、司書教諭をはじめとする学校現場の先生方との連携があってこそ発揮できることがわかります。校長会から毎年出される教育委員会への要望書にも「人の配置と連携」が挙げられていることからも明らかでありましょう。

 さて、そうした中で、今後、さらに効果的かつ効率的な動きをすすめる鍵は「学校図書館支援センター」が握っていくと言ってもよいのではないでしょうか。教育長は、既に構想をお持ちなのではないかと期待するわけですが、市立図書館の学校向けの図書と各学校の図書館の蔵書を一括して把握し、授業を支援するシステムづくりであります。昨年は豊橋市、今年は吉良町がモデル設置に手をあげ、文部科学省からも予算を獲得していると聞きます。 

 市立図書館としても、幼いころから一貫して本に親しむシステムの整備は、図書館を利用する市民を開拓することであり、育成することです。文化の香りあふれる西尾市づくりに楽しみな施策といえましょう。そして、大学生、社会人の利用もさらに進めるために、開館時間にもさらに工夫をこらしていただくよう求めるものです。質問は4項目です。

質問要旨
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 学校図書館司書は、学力向上・授業補助の観点から、小中各校に配置すべきと思いますが、どうですか。            

  同司書は、学校経営の一員に含め、司書教諭・教員への支援となるよう文部科学省が示していますが、市としてどのように取り組むのですか。

 市立図書館の夏季時間延長は市民にたいへん好評ですが、開館時間を遅らせて、さらに他の時期も閉館時間を延長してはどうですか。

  市立図書館には「学校図書館支援センター」を設置し、支援と連携を強化するのが文部科学省の方針ですが、市はこれをどのように推進していくのですか。


 以上、市長の積極的な答弁を求めて、私の登壇による質問といたします。