平成18年6月議会一般質問


 私は、今6月議会にあたり、緊急性の高い「名鉄鎌谷駅の存廃」、そして「障害者自立支援法施行に伴う市の対応」の2議題13項目について質問します。いずれも、市民生活に直結した重要課題でありますので、市長の真摯かつ具体的な答弁を求めます。

 ご承知の通り、先般、名古屋鉄道株式会社(以下、名鉄といいます)から同社が運営する名鉄西尾蒲郡線の鎌谷駅を廃止したいとの申し入れがありました。周辺住民の皆さんからは、存続の願いが届けられているところです。

 名鉄は、現在、鉄道各社が行っているプリペイドカード(ストアードフェアーカード)による運賃支払いシステムを経営する全線に導入するべく整備を行っています。既に、名古屋本線始め主だった路線では、このシステムに対応した自動改札機など関連機器を入れ、利便性を増しているといいます。

 ついては、多額の投資が必要なため、西尾蒲郡線のうち、システム導入は名古屋から吉良吉田までとし、吉良吉田と蒲郡間は導入をせずに、区間均一料金制にして経費削減をはかるようであります。
 確かに、西尾蒲郡線は、必ずしも優良路線とはいえず、近年、低迷を続けていますが、私たち市民にとっては欠かせない公共交通機関であることは言うまでもありません。
 今般、名鉄は路線運行の見直しとシステム導入を行うなかで、乗降客の少ない3つの駅、安城市の碧海堀内、吉良町の三河荻原、そして、西尾市の鎌谷については、1日の乗降客が300人をきっていることを理由に廃止をしたいとのことです。確かに、採算性が低いであろうことはわかります。しかし、それだけで、簡単に廃止されては困ります。
 鎌谷駅周辺の福地地区町内会の皆さんが、4月末から署名をお集めになりました。これを受けて、市長は皆さんが名鉄に要望に行く時は、同席するとおっしゃり、ようやく5月31日に名鉄を訪れたとのことですが、何とも悠長な話ではありませんか。

 吉良町長、安城市長は早い時期に名鉄本社を訪問して存続を要望し、中日・朝日など各紙にも報道されています。西尾市長の対応は、大きく遅れをとっていると言っていいでしょう。

 市は、2月の廃止申し入れを市民になかなか明らかにせず、乗降調査を実施したのは4月末の平日たった1日のみです。周辺住民への説明会も行われたのは4月末で、議会総務部会への報告も5月に入ってからでした。市は、最初からまったく他人ごとだと考えていたのではありませんか。

 周辺町内会の皆さんは、わずか3週間で4000人もの署名を集められたとのことで、駅存続への思いがいかに大きいかがよく判ります。市は、もっと積極的に手立てを講じるべきではありませんか。私は、乗降調査なども数だけではなく、もっと丁寧に時間をかけ、お客のニーズを調べるべきだと思いますし、また、総務部会でも提案されていたように、もっと駐輪場を整備し、駐車場などの利便性をはかるのも乗客増加への試みのひとつだと思いますが、私は、廃止の最大の理由である改札機器の導入に、市として補助金を投入することも考えるべきではありませんか。

 ただ「お願い」だけを繰り返すのみの受身の態勢では、さきの三河線廃止の時と何ら変わらず、1年2年と無為に時間を過ごすだけで、結局、何の進展もなく廃止に至ったのは、つい先日のことではありませんか。

 もちろん、公共交通機関としての責任を名鉄に感じてもらうことも重要ですが、今はもう、頼み込んで何とかしてもらう時代ではないのではありませんか。市として、住民の生活の足を守る積極的な姿勢が必要です。どうしたら、鎌谷駅を残せるのか、名鉄とどのように交渉しているのですか。

 学生やお年寄りなど電車に頼るしかない市民の足が奪われれば、さらにお客が減り、電車の運行数も減るという悪循環が起こります。必然的に、西尾線自体の存続にもかかわる事態になりましょう。
 現在、市では、岡崎・一色・中畑・平坂などと市中心部を結ぶバス路線、三河線の代替バスを市費で運行しています。この5年間でおよそ1億円を投入しているのですから、鎌谷駅を残すために市費を投じても、おかしくありません。むしろ、一時的な投資によって市民の足が確保できるのであれば、十分検討に値するのではありませんか。
 これから、団塊の世代が高齢者になり、75歳以上の後期高齢者も一気に増えます。
誰でも何時までも車に乗れるわけではありません。環境政策の視点からも、今のような、いつまでも、個々人が車のみに頼る交通体系のあり方を見直す時期にきていることは明らかです。現に、豊橋市などのように路面電車を積極的に拡大する方針を打ち出すところも出てきています。

 私は、市のバス運行も5年目を迎える今、環境対策としても、今後の「市民生活の足」としての市の公共交通体系をきちんと構築すべきと考えますが、いかがですか。
 特に、市長は、市内循環バス運行を公約としておられるのですから、当然ながら、鎌谷駅周辺住民の要望にも、手をこまねいていることはなかろうと存じます。どのように具体策を講じられるのかを伺います。

議題1.名鉄鎌谷駅の存廃について、

 

質問要旨
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    鎌谷駅廃止について、名鉄からは、どういう話があったのですか。

    自動改札機設置に費用がかかり過ぎることが廃止の理由と聞きますが、
    そうですか。
    
    高齢社会に向け、市として、これから「交通弱者」「生活弱者」のため

    の足を確保するためにも鎌谷駅を廃止させてはならないと思いますが、
    どうですか。

    鎌谷駅を廃止すれば、西尾線全体の衰退にさらに拍車がかかると思いま
    すが、どうですか。

    鎌谷駅を存続させるために、市長は、どんな施策を講じるのですか。

    自動改札機設置に補助金を出すことを考えるべきではないのですか。



 名鉄では、今回の西尾蒲郡線に見直しについては12月を期限とみているとの報道もあります。対応は急務です。市長の積極かつ論理的な答弁を求めます。



 さて、2議題目は、障害者自立支援法施行に伴う市の対応ついてであります。
 先の3月議会において、西尾市においても、国の障害者自立支援法の施行に伴って
障害者自立支援条例が成立しました。

 このたびの国の自立支援法は、これまでの障害者に対するセーフティーネットとしての措置制度あるいは支援費制度とはまったく異なり、各種生活支援をして、障害者の生きる権利を擁護するあり方から一転させました。「生活支援は『利益』である。従って、利益を受けるからには応分の負担、一律に1割の自己負担を課す」という情け容赦のない制度に変えたと言ってもよいでしょう。そして、サービスを受けるにあたっての障害程度判定区分は、市が設置する審査会が決定することになっているのが、重要な点であります。

 自立支援法で提供される福祉サービスは、介護給付・訓練等給付・自立支援医療・補装具、そして、自治体が行う地域生活支援事業の5つにくくられます。

 そのうち、介護給付を受けるためには、障害程度区分判定を受け、その結果によってサービスが利用できるかどうかが判断されます。介護給付に分類されるほとんどのサービスが障害程度区分で、一定程度以上ないと受けることができないため、必要なサービスから排除される障害者がうまれることが心配されています。これまで、施設に入所出来ていた人がはじき出される可能性があるのは、この点です。

 また、訓練給付については、一定期間内に訓練効果があがるかどうかで利用できるかどうかが決められるという厳しい選別が行われます。

 居宅介護については、サービス提供の可否ではなく、障害程度ごとに国が市町村に支払う負担基準の上限額が制定されますが、上限を超えた支給決定を行うと、その分、市町村の持ち出しが増えるため、支給決定量がこれまでより少なくなることが心配です。また、居宅介護(ホームヘルプ)では、入浴・食事介助・など訪問介護は重度の方だけになりますし、これまで支援に含まれていた移動支援(外出支援)も、この10月からはここから外され、市が行う地域生活支援事業に移行することになっています。
 地域生活支援事業がどの程度、充実されるか、また費用負担がどうなるのか、国のサービスと同様に1割負担となるのか、何らかの補填あるいは減免措置がとられるのかは、障害者が積極的に社会参加できるかどうかの鍵にもなるといえましょう。

 自立支援医療でいいますと、これまでの育成医療・更正医療・精神障害通院公費負担の3つの公費負担医療制度が統合され、これまでの応能負担から1割負担に変わりました。
 育成医療は、身体に障害のある児童や、そのまま放置すると将来、障害を残すと認められる疾患がある児童のうち、比較的短期間の治療により障害の除去や軽減が期待される者に必要な医療を給付することを目的に実施されてきたものです。これまでは、前年所得に応じた応能負担だったため、数百万円かかる高額な手術なども安心して受けることができたのですが、1割負担となることで負担が一気にふくらみます。

 更正医療は、更正のために医療が必要な身体障害者手帳所有者で、治療によって確実な治療効果が期待できる方に提供されてきましたが、これまでは応能負担でした。
いずれも、肢体不自由、視覚障害、音声言語そしゃく機能障害、心臓障害、腎臓機能障害、免疫障害など、私たちのごく身の回りにみられる障害が対象です。

 そして、精神障害通院公費負担制度では、統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する程度の病状のものに医療費の95%が公費でしたが、自己負担が1割に引き上げられます。幸い、西尾市では当面、この自己負担分は補助されるようではありますが、いずれにせよ、然るべき時期に然るべき医療を受けられないことによって、障害をもつ人がさらに増え、程度も重くなってしまうこと、ひいては、将来の医療費が抑制どころか、逆に大きくふくらむことは、皆さんも容易におわかりのことと思います。

 人間、いつ障害をもつ身になるかわからない時代です。それは、加齢によるものであったり、交通事故であったりもします。たまたま、出産時の事故による場合もありましょう。先天的なものに至っては、本人にも家族にも何の落ち度もありません。自立支援とは名ばかりの国のこうした方針は、障害者だけでなく、今、たまたま障害をもたないだけの多くの市民にとっても重大な問題であると、私は思います。

 障害者の、特に、重い障害をお持ちの方々は、そのほとんどが障害者年金を唯一の収入としておられます。月6万5千円程度の収入での自立した生活は、施設入所の場合でも、また在宅でも、到底成り立たず、家族の重い介護負担によって、ようやく現状が保たれている事実があることを、私たちは重く受け止めなければなりません。

 条例制定について、3月当時は、まだ、その内容が定まっておらず、県や近隣他市の動向も見ながら整備を急ぐとのことでありました。私は、自立支援法によって自治体に任された部分を充実させ、少なくとも西尾市においては、障害者をもつ市民が路頭に迷ったり、あるいは診療抑制が起きることによって逆に、将来の医療費の増加をまねくことにならないよう、自立支援事業の明文化と、さらなる充実を求めて賛成をしたものです。
 北海道の伊達市では、20年前から、障害者の自立支援にさまざまな施策を講じてきました。特に、在宅の障害者については、市で地域生活支援センターを設け、生活支援・就労支援に力を注いできた結果、多くの知的障害の方々が地域での一般企業、商店などに就労し、グループホームでの自立生活を確立している、そうした先例もあるのです。

 条例制定から3カ月が過ぎました。新制度の10月からの本格的な施行にそなえて、市の動きは、障害者、そして家族にとって納得のいくものになっているのでしょうか。障害程度区分判定、そしてケアプランの策定も、根幹にあたる多くは、市の判断と裁量に委ねられているのです。市長の責任はさらに重くなっているなか「人にやさしい西尾市」であることを期待して、質問をまとめます。

議題2 障害者自立支援法施行にともなう市の対応について

質問要旨
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    利用者負担はどのようにするのですか。市でも1割負担を求めるのです
    か。減免措置は講じるのですか。

    これまで作業所などに通って1日をすごし、わずかでも報酬を得ていた
    障害者が、報酬以上の費用を支払わなければ通所できないという状況は
    生じませんか。今後、通所抑制は起きませんか。

    精神障害をもつ市民への支援はどう行われるのですか。

    障害程度の認定調査は専門職が行い、また、一定期間毎にケアプランの
    見直し・チェックが必要と思いますが、どうですか。

    障害区分通知後のサービス利用意向調査の結果はどのようですか。

    就労支援については、障害者雇用推進協議会をつくるとのことだったが、
    進捗状況はどうですか。企業への斡旋、移動支援の方策など、具体的な
    内容はどのようですか。

    市と、医師やリハビリなどに関わる医療職、サービス提供機関、ケアマ
    ネージャと障害者本人・家族などを交えた円卓会議の場を設けて、支援
    の充実をはかりませんか。


 以上、市長が、建物造りなどハード面ばかりでなく「人」に目を向けた政策を大事にしておられることを期待して、登壇での質問といたします。