平成15年12月議会一般質問 |
2003.12.1
議席番号9番 鈴木 規子
はや、今年も暮れようとしています。平成の大合併が叫ばれるなか、今年は、西尾市にとって祝うべき市制50周年でしたが、同時に、わが市が今後、どのような道を歩いていくのか、次なる選択の時を迎えた年ともなったわけです。
私は、今12月議会にあたり3議題、膠着状態を呈している1市3町合併について、始まって8ケ月を経た障害者支援費制度の状況について、そして、公民館の活用促進についてを取り上げました。
いずれも、市民生活に直結した問題であり、市長のリーダーシップに大きく係わる課題であります。市長におかれては、はっきりと方針を示し、全庁を挙げて問題解決にあたる意思を明らかにして下さるよう求めるものです。
さて、700兆を超える財政赤字を解消する一端として、平成の大合併が新たな国の方針として示されているのはご承知の通りです。これをうけて、西尾市と幡豆郡3町も合併の方針を採択、首長間の合併研究会を経て、この8月、ようやく市民も参加する『任意合併協議会』を発足させました。
ところが、この任意協議会では、合併を進める方向で設置されたものの、その方式を新設にするか、編入にするのかの協議が平行線をたどるまま、すでに4ケ月が無為に経過しています。協議期限が17年3月に迫るなか、住民には、合併するとどうなるのか、本当に住民の利益になることなのか、メリット・デメリットはどうか、肝心の中身について具体的に示されないまま、11月27日の第4回、休会となってしまいました。
いったい何をやっているのか、多くの市民がいらだちと疑問を感じています。
私も、毎度この協議会を傍聴しておりますが「新設をお願いします。」「編入でお願いします。」という、単なるお願いのし合いが、毎回、何時間も延々と続くばかりで、その根拠や具体的な理由が議論されなかったのは、理解に苦しむところです。特に、10月の第3回協議では、4つの小委員会を設置して具体的協議をすすめる中から合意点を見いだそうとの合意があったにもかかわらず、27日は、冒頭から、方式決定をめぐって再度紛糾「しばらく風を入れる」との会長発言で休会に至りました。市民委員からは、会の進行を含めて「これ以上やっていられない。」との意見が多く出たのは残念極まりないことです。
西尾市としては、編入方式を主張する理由をもっと具体的に、3町の首長や市民委員に説明し、理解を得る努力をすべきだったのではありませんか。対等な議論をすすめるということは、それぞれの立場を論理的に述べ合うことであって、言うべき時に言うべきことを言わないのとは違います。
ともかくも休会の間、各市町でさらに論議を深めることになったわけですから、市長には議論の材料となる、新設と編入の違い、合併をするとしないとでは、住民にとってどう違うのかをキチンと説明し、説得する義務があります。
そもそも、合併は、国の借金700兆円、地方の借金450兆円という、わが国財政の危機的状況にあたって、市町村の行財政改革をすすめ、スリムな自治体を形成するために行なわれようとしているものです。元を質せば、自らも借金を重ね、自治体にも安易に借金を増やし続けるような施策を講じてきた国に誤りがありますが、ことここに至っては如何ともしがたく、私は、今後の財政状況を見極めながら、地域全体がスリムな行政をめざすしかないことを認めざるを得ないと思います。
合併は、行財政改革の一環であるという、この点を間違えてはなりません。合併論議のなかには、特例債をもらうためとか、もらわなければ損をするというような意見がありますが、これは大変な誤解であり、考え違いと言わなければなりません。合併特例債はあくまで借金なのです。間違っても、スリム化のために更に大きな借金をかかえるなどという愚をおかすことは許されません。
しからば、住民にとっての利益を最優先にした合併とは何かであります。
まず、財政緊急事態という現実を直視し認識しなければ始まりません。まちづくりを描こうにも、基盤となる財政状況が10年後20年後どうなるかがはっきりしなければ、描きようがないからです。当然、合併の作業自体にかかる経費はできる限り低く抑えるのでなければ、意味をなしません。今や、戸籍・税金・年金・保健と、住民の情報は、ほぼすべてが電子情報になっていますから、これらシステムの一元化には相当な費用も時間もかかるはずです。
市長には、こうした情報を正しく、はっきりと市民に示す説明責任を果たしていただかなければなりません。そして、今後の姿勢を、いまこの時にこそ、明確にされるべきです。
総務省では、合併期限を1年延長する法案を予定しているといいます。ならば、なおのこと残された時間は、住民のための、実のある議論に使わなければなりません。このことを改めて指摘して、質問に移ります。
議題1 膠着状態の1市3町合併について。
|
質問要旨
1)
2)
3)
4)
5)
6) |
任意合併協議会では、新設か編入かの議論が平行線のままで一向に進んでいませんが、今後、市長としてどのようにリーダーシップを発揮されるのですか。
編入と新設とでは、首長・議員などの処遇が違うだけで、住民にとっては殆ど違いはないのでありませんか。
合併した場合としない場合で、西尾市の5年後10年後の財政シミュレーションはどのように変わってくるのですか。
電算システムの変更にかかる費用と時間は、新設・編入とでどれほど違ってくるのですか。
新設となった場合、事務・作業が大幅に増えるといわれていますが、それにかかる費用はどれほどと見積もっているのですか。
編入の比べ格段に費用のかかる新設合併は、合併の主たる目的である行財政改革に大きく逆行するのではありませんか。
|
さて、障害者支援費制度が新たに始まって8ケ月が経ちました。
生活支援内容を、行政が一方的に決定するというのではなく、障害者自身がサービスの内容と提供事業者を選び、契約するという新たな支援の形が大いに期待をされて始まった制度です。
国は「もうこれ以上は施設はつくらない、建設の費用はサービスの充実に回し、在宅でもきちんと生活ができるように支援を拡大していく」との方針で、支援費制度を導入しました。
私は、障害の有無にかかわらず、誰もが、地域で、当たり前に暮らせるのが望ましい社会のあり方だと考えています。もちろん、施設が必要な方もありましょうから、それを含めた幅広い受け皿が必要です。そして、どの場合でも不可欠なのは、十二分な人権への配慮であることはいうまでもありません。
制度は始まったばかりで、予算の位置づけも補助金のまま変わっていませんから国および県の指導監督部分も多く、かねて、障害者団体などからも批判を浴びているところですが、西尾市においては、少なくとも、従前のサービスは堅持し、低下はさせないと説明されてきました。利用時間は、必要とするだけ充分に認められていますか。上限設定はあるのですか。
次年度予算編成にあたって、市では、この姿勢をどう保っておられるのか、また、現在の制度のなかの不備をどのように克服していくのか、国や県に対して要請していくのかを伺います。
制度の周知は充分でしょうか。事業者やサービスの内容について、聞かれれば教えるが、積極的な情報提供はしないというお役所的な対応になってはいないでしょうか。また、現状にあっていない法律・規則にしばられて、ニーズを認めなかったり、後退させたりしていることはありませんか。
8ケ月が過ぎ、新聞では、自治体によって大きな地域間格差が生じていることを報じています。障害者の生活をトータルにみたうえで、ニーズを先取りしている先進地域、県内でいえば、在宅支援策を積極的にすすめてきた名古屋市や、サービス提供を障害者団体に委託するなど手立てを講じてきた岡崎市や半田市では、支援費でまかなえるサービスの量も質も確実に増えています。どちらも、障害者本人や団体と緊密な話し合いの場を設けて、ニーズ調査に力点をおいてきたといいます。
ニーズのなかでも大きいのは移送介護です。障害者の場合は、目であったり足であったり多種多様に、社会との接点となる部位に障害をもっていらっしゃるのですから、そこの支援がなければ、到底、地域での生活は成り立ちません。
厚生労働省はサービス事業者には積極的に移送介護への参入をすすめていますし、国土交通省でも、ニーズを認め、来年度から、NPOなどが有料で行なう移送サービスについてはタクシーの事業許可や普通2種免許なくても認め、車両も一般車両でもよいとの緩和策を打ち出しています。
ところが、西尾市ではそれとは逆の方向に向いているのはどうしたことでしょうか。西尾市社会福祉協議会では、市の要綱を基準に、ガイドヘルパーの運転による移送サービスが行なわれていましたが、半年程前から運転が禁止され、ガイドヘルパーは付き添うだけしか認められなくなったというのです。ガイドヘルプという事業の意味がないのではありませんか。すみやかに、従前通りの事業形態とするべきではありませんか。
また、障害者の間には、気軽に相談ができ、情報提供、調整役となる窓口がほしいとの声もあります。市は、支援費制度の対象者には情報の入手や折衝の手立てすらままならないというハンディがあることを忘れてはなりません。本人と事業者との直接交渉では、障害者はまだまだサポートを必要としていると捉えるべきです。交渉に出かけるにも不自由をかこっている現状や、補助金制度のなかで、障害者自身がどれほど自己主張が可能か、思いを至らせていただくことを願って質問に入ります。
議題2 障害者支援について
|
質問要旨
1)
2)
3)
4)
5)
6) |
支援費制度における居宅介護支援の事業所が少なすぎませんか。
西尾市社会福祉協議会としても、365日24時間の居宅介護支援サービスをしていくべきではありませんか。
居宅サービス利用時間に上限はあるのですか。
移送サービスは要望が多いにも拘らず、一向に提供量が増えていないようですが、市としてどのように増やしていく予定ですか。
従前通りに、ガイドヘルパーに運転業務を認めるべきではないのですか。
担当窓口にケアマネージャーをおくべきではありませんか。
|
議題3は公民館の活用促進についてです。公民館が各中学校区に整備されましたが、利用状況がはかばかしくないようです。
市長は、13年決算議会で、市民からそういう声がでていることを充分承知している、改善をはかると答えられたにもかかわらず、14年も同様の指摘と答弁が繰り返されるに至っています。
一館につき2億円近くもの建設費を投入し、年間800万円余の維持管理費をかけているのに、なんともったいない話でしょうか。
行政改革は、削減ばかりが手法ではありません。今ある社会資源をいかに有効活用するか、であります。
そのためには、まず、現状を正確に詳細に把握することから始めなければなりません。利用状況によっては、その地域の特徴がみえてくるでしょう。また、平行して、地域がもつニーズを調査していかなければならないのではありませんか。これまで、そうした調査はなされたのでしょうか。どのような結果だったのでしょうか。結果は、地域の方々に返されましたか。一部ではなく、多くの市民との意見交換は行なわれているでしょうか。
地域の施設は、地域とともにあることが理想です。地域のそれぞれの年代に即したニーズを発掘することが必要ではないでしょうか。
地域や年代毎のニーズと、行政側がもっている住民に発信すべき情報や支援策を刷り合わせたならば、公民館はその拠点として最適な場となるはずです。
例えば、子育て中の若いお母さん、特によそから西尾にきた方は子育て情報と友達を求めています。地域の子育て支援サブセンターは週1回しか開かれていませんから、それ以外の日は公民館で集える機会をつくれないでしょうか。
乳幼児健診も、時には公民館で開催してもよいのではありませんか。保育園入園前から地域でのともだちづくりができれば、おかあさんたちの孤立感も解消されるでしょうし、虐待の芽もつむことができるかもしれません。
今年度は、長寿課のピンシャンチェックが公民館を会場に行なわれましたが、来年度はいかがでしょう。福地公民館で会ったお年寄りは、私に、イベントの時だけでなく、定期的にそうした機会があれば参加したいとおっしゃっておられました。要望は、まだまだ潜在しているのではないでしょうか。健康支援では、保健推進員さんやそのOGが各地区で活躍しておられ、ありがたいことですが、こうした人材養成は、他の部局でもできるものがあるのではありませんか。各種ボランティア養成講座の修了生には、公民館を使うことで、もっと活動の場が提供できるのではありませんか。
どんな講座も最低3年養成を続ければ、修了生によるグループづくりが可能となるはずです。私は、市は、もっと人づくり、場所づくりをするべきではありませんか。ただ待っているだけでは、そうした人の輪など決してできるものではありません。確かな種まきが必要なのです。地道な種まきが続けられれば、リーダーも生まれてくるものと思います。
先日、生涯学習課で、今年の成人式実行委員会の活動がとても活発であることを聞きました。若いひとたちも、自分たちの思いが実現できる場を求めているのではないでしょうか。
公民館は、生涯学習課だけで100%カバーできるものとは考えられませんし、また、その必要もないのではありませんか。私は、市を挙げて、その活用に参加すべきと考えます。そして、市民を育て、巻き込んでいくべきものと思います。
そして、これまでに私が提言した、市民課窓口機能やパソコンでの施設予約などが実現するなら、公民館稼働率は確実に高くなるはずです。市長の積極的な答弁を期待して質問に移ります。
議題3 公民館の活用促進について
|
質問要旨
1)
2)
3)
4)
5)
6) |
各公民館の各室の稼働率はどれほどですか。
公民館の投資対効果の率を上げるためにどのような方策を考えているのですか。
利用時間の弾力的運営を考えなませんか。
生涯学習課だけでなく、もっと他部局からの恒常的な市民向けプログラムを設ける必要があるのではないですか。
学習だけでなく、終了後に社会に貢献できるような講座を考えませんか。
運営への市民参加を考えるべきではないのですか。
|