平成15年9月議会一般質問 |
2003.9.3
議席番号9番 鈴木 規子
年々歳々、気象変動が激しくなっています。特にこの夏は、宮城県北部には度重なる地震、台風による土砂災害・河川の氾濫と続き、加えて冷夏による農作物の被害も心配されております。
こうした中、私は、今9月議会では、まず第1に地震・防災対策について、そして、2学期制の導入、文化会館の活性化(リフレッシュ)をどのように図っていくかについての、合わせて3議題、市長の取り組みを伺います。
近年の連続する災害発生をみるに、わが市においても、早急かつ十二分にその備えが求められることは論を待ちません。特に、地震対策については、一昨年秋の危険地域指定以降、市を挙げて対策が進められているはずでありますが、2年近くを経過した今、その進捗状況についてお聞きいたします。
新聞報道などでも、さまざまな情報が提供されています。私が昨年の一般質問で要求した市内全域の地盤情報、危険地域についての情報開示も、国によって全部を一般公開するよう促されました。
「自分の身は自分で守って下さい」と行政はおっしゃいます。確かにそうでしょう。大規模災害時に行政ができることには限界があることは明らかです。しかし、同時に「市民の生命と財産を守る責任」のある市当局が、その責務遂行のため、どう備えておられるのかをご説明いただかなければなりません。大規模災害の被害がさらに拡大するようなことがないよう、どのように予防的措置をとっておられるのか。また、発生した場合、いかに最小の被害に食い止め混乱を回避する策を講じておられるのかをお尋ねします。
市民が納めた税金が、市民の納得のいくような使われ方をされるべき、今、最優先の課題は、私は防災であろうと考えます。
市では、自主防災組織の結成に懸命で、多くの時間もさいておられますが、私が参加している限りでは、まず組織の結成ありきの姿勢に終始しておられるようです。残念ながら市としての臨戦体制について聞くことはありません。もっと市の具体的な実行策を示しながら、市民への協力・自主努力を求めるべきではありませんか。
災害が発生した時、対策本部となる市役所の地震対策はどうなるのか、どうするのか、これには未だに市長のお答えをいただいておりません。救助に必要な住民情報、罹災情報はどのように確保・提供されるのか、広域避難所は本当に避難所として安全なのか、学校の耐震補修はいつまでかかり、それで万全なのか、食料や生活用品確保のための民間企業との連携はどうなのか、多くの市民が心配しています。市としての全体計画をお示し下さい。
過日、平坂勤労会館で行われた町内会長さんを召集した防災講演会では、2007年までが危ないという講師のお話でした。市民の生命と財産を守る使命を果たすべく、市長は、いつまでに何ができるのか、そのための予算をどう確保するのか、具体的にお答え下さい。
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質問要旨
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この2年間に、具体的にどんな対策が完了しましたか。
必要な対策でまだ未了のものにはどのようなものがありますか。
その対策はいつ完了する計画ですか。
これからの対策に、どれだけの予算を必要とするのですか。
耐震対策に必要な予算をどう確保していくのですか。
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議題2目は、授業時間確保のための、小中学校への速やかな2学期制導入についてです。
ご承知のように、平成14年から小中学校が完全週5日制となりました。そして、新学習指導要領では、2つの大きな目標を掲げ、第一に基礎的・基本的な知識や技能の確実な定着を図ることと、そして、第二として、自ら学ぶ意欲や思考力・判断力・表現力などの資質や能力の育成とあります。
断片的ともいえる知識ばかりを詰め込むのではなく、知識のひとつひとつを系統的に整理し、問題に応じて、改めて組み立てることのできる力を育成するという方向転換が行われようとすることに、一定の理解はいたします。
また、評価方法については、従前行われていた相対評価ではなく、絶対評価へと変わりました。しかし、学年内順位を出す点数計算をすれば自動的に評価が定まる相対評価と違って、絶対評価は、児童が課題をどの程度理解したのかを教師が見定めるという評価方法ですから、これまで以上に、子どもたちのひとりひとりに時間をかけて向き合うことが欠かせません。
教育委員会では、そのために、少人数指導など個別指導に力を入れ、精力的に対応しておられることは承知し、評価もしているところですが、いかんせん、学習と評価のための絶対時間が足りないのではないかという点を、私は大変に危惧いたしております。週完全5日制の実施では、実に年間19日の土曜日がなくなっているのです。
文部科学省では、学習内容を削減することで、新指導要領には「ゆとり」を持たせたといっているようですが、とてもそうは思えませんし、現に、昨年1月、遠山大臣が発表した「学びのすすめ」は、これを打ち消すような学力向上策です。
現場は、大変に混乱を来たしているのではありませんか。先生方からは、国語では、長い文章が出てくる単元では音読を1回通りこなすのがやっとで、繰り返し読ませて、文章を理解するまでいけない。また、美術や技術家庭のような実技のある科目では、作品を仕上げるまでの時間がとれないと評価自体ができないなどの苦渋の声が上がっています。理科の実験がすっかり影をひそめてしまったのは、さらに以前から指摘をされている問題です。
週5日制の対策として、各地で学校行事のカットが行なわれています。学校教育法規則による標準授業時間は小学校が学年別に782時間から945時間。中学校は980時間とされていますが、文部科学省の昨年実績調査では、小学校では、ほぼ全ての学校が上乗せをしており31時間以上上回った学校は小1でなんと74%、小6で44%。中学校でも、およそ57%の学校が行事を減らして授業に回しているということです。また、絶対評価への対策として、豊橋市では中間テストの廃止に踏みきったと聞きます。
「ゆとり」を求めながら、実は現場では逆の混乱が起きている現実があります。
実際問題として、これを解消するためには、2学期制の導入しかないのではありませんか。
仙台市ではすでに平成12年度からモデル実施をした結果、児童・教員・保護者ともから時間的精神的な「ゆとり」と学習の進め方に余裕を得たとし、15年度からは市全体の185校に2学期制を導入しています。授業時間は約40時間増加しているとのことです。県内市町では、知立市が試行。犬山市・豊田市で17年から実施予定と聞きます。
教育長は、さきの校長会で2学期制の検討を提言なさっていましたが、8月27日の市PTA連絡協議会では、さらに踏み込んだ発言をされているようです。この1年半の学校の状況をどのように把握し、授業時間と、教員と子どもたちとの間の「ゆとり」を確保してこられたのかを伺います。
昨日の一般質問初日には、関連質問で、この2学期制導入についてが取り上げられました。すでに、私だけでなく市政クラブからも通告があったにも拘わらず、2期目の議員が質問されたわけですから、市長与党の市民クラブでも、この問題については多いに心配をしておられる表れと思います。本日は、通告の質問要旨にしたがって、2学期制について、どのような内容を考えておられるのか、その計画と目標について、ごく具体的にお聞かせ下さい。
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質問要旨
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週5日制の実施に伴い、大幅に減った授業時間確保のために、どのような工夫がなされていますか。
絶対評価が導入され、教員と児童間にこれまで以上に向き合う時間が必要なのに、授業時間が減ってしまっては、子どもたちの人格形成や学力に問題が生ずるおそれがあるのではありませんか。
早急に2学期制を導入して、授業時間を増やすべきではありませんか。
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議題3は、文化会館の活性化、利用者増のためのリフレッシュについてです。
文化会館3階は昭和55年以来、結婚式場として多くの市民に愛されてきましたが、近年は民間事業者に押されて利用件数が落ち込み、来年3月をもって事業組合が撤退することとなりました。
市におかれては、この3階部分について今後、どのような利用の方法を考えておられるのでしょうか。
文化協会の皆さんから、随分前から強く要望が出ているのは、西尾市に、美術展・文化展が開ける施設が欲しいということです。市民世論調査などでも、西尾市ではこうした文化的施設への予算が、近隣他市に比べて格段に少ないとの意見があります。
昨年完成した岩瀬文庫も、もともとは、市民ギャラリーとして使いたいとの声があってのことと聞いています。誠に残念ながら、その声は形になりませんでした。各市で持ち回りの展覧会の時などは、無念の涙を飲んで、他市を優先するか、文化会館2階の会議室に暗幕を張り、パネルを並べて、かろうじて展示をしておられるというありさまで、市長が標榜される「文化香るまち」には程遠い状況であります。
今回、白紙状態になった文化会館3階部分の面積は、631平米もあります。
これまで使われていた2階部分の練習室など4ケ所が352平米でしたから、
2・3階を一体化して「市民ギャラリー」にすれば1000平米が確保できることになります。刈谷市美術館が4室・570平米、岡崎市美術館が同じく4室・630平米ですから、一定以上の展示スペースといえるのではないでしょうか。
もはや箱物の時代ではないことは市民の皆さんはよく承知しておられます。今ある建物をいかに有効利用するのか、あるいは付加価値をつけるかに尽きるのではありませんか。上手に転用して、より多くの市民に足を運んでいただくことを考えていかなければなりません。
結婚式場の撤退は数年前からいわれ、すでに昨年からは既成事実となっており、当該部会でも報告がなされていたところです。ところが、ここをどう再活用するかについては未だに何の検討もなされず、11月から検討委員会を立ち上げるとの報道もききます。そんな状態では、次年度予算がきちんと確保できず、せっかくの市民の財産を無為に眠らせることになってしまうではありませんか。
市民ギャラリーとしての活用をいかがお考えになるか伺います。
また、文化会館大ホールは、平成12年以降利用者数が極端に落ち込んでいます。11年に126件65600人余の利用者数があったものが、12年には89件44800人、13年が90件で47000人、昨年がかろうじて100件51500人でした。
昨年は、由紀さおり・安田祥子リサイタルが満席で、大好評でした。また、先週日曜日に行われた加藤登紀子コンサートも大盛況で、チケットは発売日に完売状態だったと聞いています。いい興行をうてば、ちゃんと入場者はあることがはっきりしているのではありませんか。私は、工夫次第で、文化会館は充分、生き返るものと確信しています。
興行界では、いいものは余程早くから日程を押さえなければなりません。また、さまざまな年代の声を聴き、その時々のニーズをきちんと把握する仕掛けが不可欠であると考えます。加えて、企画段階から市民に主体的に係わっていただくことが重要ではないでしょうか。
子どもたち向けのミュージカルやコンサートなど、親子で本物に触れる機会を西尾で提供できれば、名古屋まで出かける交通費を入場料に振り替えていただけるでしょうし、その分、少々高くても、いい企画を立てられるのではありませんか。
この10月に行われる薪能は、西尾で初めての企画ですが、チケットは発売当日早々にすでに売り切れとのことです。私の友人も、出不精のお連れ合いを誘って行こうと思ったのにと残念がっていました。薪能は、その方面の市民の方々のご尽力による企画です。また、8月31日に福祉センターで開催された、能の見方を解説する事前講座も250人もの方が参加され、大盛況だったそうです。まさに、ひとつの企画でいくつもの楽しみを市民に提供できるよい例だと思います。
入場料収入で興行をまかなえる工夫に、市民の知恵と力を借りる方法を取り入れることを考えませんか。自主事業と、そうした市民団体との共催事業で、文化会館のリフレッシュをお考えになるかどうかをお尋ねいたします。
議題3.文化会館の利用者増(リフレッシュ)について
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質問要旨
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結婚式場撤退が決まった文化会館3階を、2階部分と併せて市民ギャラリーにしませんか。
単なる「貸し館」に甘んじることなく、もっと自主事業開催に取り組み、活用度を高めるべきではありませんか。
市民参画の「文化会館友の会」をつくって、自主的運営の割合を増やすことを考えませんか。
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すでに4期目の市長です。検討する、検討するというだけの答弁は聞きたくありません。防災については、私は、昨年も多くの提案をしています。この間の成果と今後を訊いているのですから、ごく具体的な答弁で然るべきです。特に、地震に待ったはありません。文化会館についても、すでに過去に提案しているものです。実のある答弁を求めて、私の登壇による質問を終わります。
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