平成14年12月議会一般質問


                                                       2002年12.2
                                                     議席番号1番  鈴木 規子

 いよいよ今期最後の議会となりました。
 私は、この4年間、本田市政のあり方について様々な質問、また提言を行なってまいりましたが、市長答弁を総括して申し上げるなら、市長が公約なさった「市民とともに歩む市政」の実行と、そのための肉声がまるでなかったということになります。残念極まりないことであります。
 10万市民の今を肌で感じとり、共感し、何が大切なことなのかを見極めて後、ご自身の言葉で語っていただきたい。私は、このことを、ずっと願いつつ発言を続けてまいりましたが、今議会の、この問題「保育園の民営化」ほど、それを強く思うものはありません。
 子育て支援には、西尾市の将来がかかっています。次代を担う子どもたちをいかに育てていくのか、全体計画の中で、どう位置づけているのか、近隣各市と比較してことに遅れが指摘されている部分であるだけに、最高責任者としての、市長のお考えをお聞かせいただかなければなりません。
 この10月26日、中日新聞始め各紙に、西尾市立保育園の民営化計画が発表されました。それは、平成16年から18年までの3年間で、市内16園のうち、6園を一挙に民営化しようというものです。
 西尾市立保育所民営化等実行計画(案)によれば、その目的は、多様化した保育ニーズに対応するようサービスの充実を図るため、また、厳しい財政状況の中、効率的な保育所運営が求められていることから、民営化または統廃合を進め、併せて民間保育所の育成を図るということです。
 対象となるのは、伊文・平坂・東部・中野郷・中畑・福地北部とされ、16年に伊文、17年に平坂、東部、中野郷の順と計画、発表されています。
 この民営化については、行政改革第2次実行計画「行政組織の見直しを行う」との方針の中で、平成12年に市長が議会発言をなされたものであることは、私も承知しています。
 ところが、その後は、具体的な動きはなく、ようやく平成13年7月に民営化の良し悪しを検討する「民営化等検討委員会」が置かれましたが、今年1月までにたった6回の開催を数えるのみでした。今年度に入って、民営化実行委員会を設置して、わずか5ケ月、この9月に結論を出したのですから、急ぎに急いで具体化したなというのが、私の正直な感想です。
 行財政改革は、わが市において、現在、最重要課題として取り組まれようとしています。これについては、もちろん、私も異議のないところでございます。
 しかし、こと教育、また福祉に関する分野、すなわち、子どもたちに直接係わる部分については、他事業とはその進め方が異なるものと、私は考えております。 相当慎重に、時間をかけて素案をつくることが前提であり、実行計画案策定については、事前の、市民からの意見聴取・その分析が必要です。そして、充分な合意形成への道筋が市民に示されていなければなりません。すなわち、情報公開の原則に則って、市は、説明責任を果たしてことが不可欠であります。
 子どもたちは、直接に意見を述べることができません。
処遇の良否について、判断することも、声をあげることもできないことを、私たちは忘れてはならないのです。
 その意味で、この、保育園の民営化は、慎重のうえにも慎重を期さねばならない典型であるといえます。今回の計画発表で、私が危惧するのは、これらの重要な点が保障されてきたのかどうかということです。
 学校給食の民間委託が先に実施されましたが、これは、
言ってみれば、学校生活の一部分の問題であるにも関わらず、3年以上時間をかけて検討されました。それも、最初は3学期の3ケ月だけを委託契約するという、いわば試行期間まで設けてからの実施でありました。
 これに比較して、今回の民営化計画は、ずいぶんと大胆であり、かつ説得材料に欠けるものであると言わざるを得ません。国の保育園民営化促進に無条件に従った強気策であってはならないのではありませんか。
 私は、市民サービスに直結する部分での行政改革は、大方の市民の皆さんの納得が得られ、協力が得られるものでなければ、その事業として成功とは言えないと思います。単に効率だけで考えるなら、評価としてマイナスですし、トータルバランスが必要です。それどころか、このような大規模な計画が頓挫すれば、行政改革全体が市民の不信を買うことになりかねないことに思いを至らせなければなりません。さらに、市長の失政責任はまぬがれないものとなることを指摘しておきたいと思います。
 さて、計画の進行についてです。
 6園のうち、伊文保育園が1番に挙げられています。なぜ、伊文保育園なのかという問題についてお尋ねいたします。同園の定員は200名。大規模園であります。現在、乳児保育、午前7時半から午後6時半までの延長保育、障害児保育を行っています。それを、父母への計画説明を1回行ない、たった1年半後に完全民営化してしまうというのです。
 市立保育園の規模は、花ノ木・矢田の270人を最高に200人以上の大規模園が4園、110人から180人の中規模園が8園、そして、50人から80人の小規模園が3園となっています。
 民営化は、保育園の機能そのものを、いわば丸投げしてしまうものです。最初は、規模の小さなところから行い、
その経過を見る必要があるのではないでしょうか。
 200人もの子どもたちを一挙に任せるにあたって、受け皿となる業者は決定しているのでしょうか。厚生労働省の規制緩和で、受任できるのは、社会福祉法人だけでなく、学校法人、NPO、はたまた一般企業にまで及んでいますが、事業者の当てはどのようで、そこについての実績研究はなされているのでしょうか。条件緩和は開始されたばかりですから、ノウハウが充分でない企業が参入する畏れも全国各地で心配されております。
 その保育内容については、どのようになるのでしょうか。
 学校給食の場合は、食材納入条件は変わらず、献立は栄養士が立て、実際の食事は教員も食べるわけですから、内容に変化があれば、校長が常時それをチェックすることが可能です。もちろん、食べるもののことですから、あってはならないことですが不測の事態が発生しても、それは、すぐさま明らかになります。
 しかし、保育園の民営化はそうはいきません。先に述べたように、対象となるのは、いたいけな乳児も含めた、幼い子どもたちです。保育内容の良し悪し・変化は、誰が、
どのようにチェックするのでしょうか。

     第一、       それは充分に行えることなのでしょうか。保護者は
もちろん、遂次様子をご覧になるでしょうが、行政が進める民営化であることの責任において、それはどう担保されるのでしょうか。伺います。 
 また、ご承知のように、市街地中央部では、恵保育園、西尾幼稚園と、すでに私立ばかりとなっており、これに伊文が民営化されてしまうと、中心市街地の住民には市立の保育園がなくなり、行かせたくても行かせられない状態になってしまいます。
 そして、唐突な計画発表ですから、父母に考える時間はなかったと言わざるを得ません。私も、担当者から説明会資料をもらい、目を通しましたが、まず合理化ありきが前面に出てくるだけで、具体的な保育内容についての説明は何もありません。これでは、不安を持つな、大丈夫だと言っても無理な話です。
 拙速ではないのかとの市民の声があります。きちんと向き合って、お答えいただかなければなりません。

議題1  保育園の民営化について         


質問要旨1)

2)

3)



4)


5)

6)



7)

8)
  市内16園のうちの6園を、3年間で一挙に民営化するのは、計画として性急過ぎるのではありませんか。

 伊文保育園が、民営化第1号なのは、なぜですか。

 条例を制定し、民間団体を公募し、採否を策定してから10か月足らずで、伊文保育園の経営を始めさせるというのは、いささか無理があるのではないですか。

 そのように時間がないのに、伊文保育園について、特に民営化を急ぐのは、受け皿となる法人あるいは企業事実上内定しているからではないのですか。

 伊文保育園を民営化した場合、保育内容は、本当に、現在と変わらないですか。そして、それを、誰が保障するのですか。

 伊文保育園を民営化すると、市内中心部から、「市立」保育園がなくなってしまい、市内中心部の住民から、選択の幅を奪ってしまうことになりますが、それで良いのですか。

 父母に考える時間を与えず、意見聴取の機会もなく、民営化を決定することは、妥当でないのではありませんか。

 社会的な人格形成の第一歩となる機関としての保育園について、父母や園児の不安を解消しないまま民営化を強行すれば、将来に禍根を残すことになるのではありませんか。


 以上8項目です。
 ひとりひとりの市民は直接、市長に問いを投げかけ、責任ある答えをもらうことができません。それを代表して存在するのが、私たち議員と理解しております。ひとつづつについて、具体的にご答弁下さることを期待して、私の登壇による質問といたします。