平成14年9月議会一般質問

                                                                  議席番号1番 鈴木 規子

 さて、早いもので、今年度も半期が過ぎました。私は、今9月議会にあたって、懸案の「駅西再開発計画」、そして「住民基本台帳ネットワークシステムの問題点」「学校図書館の司書・司書教諭配置」についての3議題を質問いたします。
 景気低迷は変わらず、一層混迷の度合いを深めています。
 財政状況はますます苦しくなっています。そこに駅西再開発、新庁舎建設、東海、東南海地震対策、加えて、3町との合併と、問題山積です。市長には、冷静な状況判断と果敢なリーダーシップが求められており、これまでのようなあなた任せの姿勢では、到底、解決できないといわなければなりません。
 そこでまず、議題1、駅西再開発計画について伺います。
 地権者の権利変換も完了したと聞きます。建設にかかる全体計画としては、もはや、最終判断の時期を切っておりますが、その後の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。
 市民の多くは、この不景気の中を、大規模建設事業に突入しようとする市への不安を隠しきれません。市長は巷の声をどう聴いておられるのでしょうか。市政懇談会で、市民とやりとりをなさいましたか。
 建設事業一辺倒であった、前本多市長に対して「もはや箱物の時代ではない」「流れを変えよう」とおっしゃったのは、あなたではありませんか。しかるに就任以来、総合福祉センター、総合体育館、岩瀬文庫、そして駅西再開発です。ホテルについては、3セク方式こそ回避したものの、その集客・収支計画については依然として、市民には明らかにされません。箱物行政はちっとも変わっていないではありませんか。
 市長就任は平成元年ですが、経済成長は続かず、その見とおしも甘いまま、バブル期に積んだ基金も、なし崩し的に使い果たしてしまわれました。市債は、就任時の2倍以上の214億円に跳ね上がっています。右肩上がりの経済状況であるならば、借金も才覚のうちかも知れませんが、デフレ時代には、重い重い負担としてのしかかってきます。平成5〜6年の大幅減税の時に借りた減税補填債の返済期日がすぐそこに迫ってきています。また、団塊の世代の職員の退職も時期を同じくして始まります。退職金だけでも毎年14億円は覚悟しなければなりません。
 これからの10年間は荊の道となりましょう。当分の間、税収増の見込みはないと考えるべきです。でなければ、破綻を早めるばかりです。
 実は、この事態は10年前から分かっていたはずです。市長は、知らぬ顔を決め込んでこられたことの責任をどう取られるのですか。そして、この後に及んでの、駅西再開発計画の迷走です。先の6月議会では、市長は新庁舎建設を駅西にもってくることを検討に値するとおっしゃる。市民はあきれ果てています。
 迷走の発端となった商工会議所の進出問題は、既に1年半も結論が持ち越されています。再開発をもう一度、きちんと検証し、新たに大きな借金を背負ってまで、どうしても進めなければならない事業なのかどうかを、市民が納得のいくように説明していただかなければなりません。
 4年前、私の初議会の折です。駅西再開発特別委員会で、ホテル計画が明らかになった時のやりとりの後、議員控室で、私は、先輩議員から「そうカッカするなや。ホテルがこけようがどうしようが、その時は、市長も、俺らも誰もおりゃせんだ。」と言われたショックを忘れることができません。


議題1,駅西再開発計画について伺います。

質問要旨1)

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 公益棟の実施設計の詳細はどのようですか。

 3月議会では、坪当たり価格は約150万円の見込みとのことでしたが、決定額はいくらですか。

 商工会議所の進出はあるのですか、ないのですか。正式回答は8月末とのことでしたがどうなりましたか。

 平成16年から所得税減税にかかる借金の償還、18年からは団塊の世代の退職が始まり、市は未曾有の財政難に突入しますが、市長は、それを承知してもなお、この計画を進めるのですか。

 ホテル進出計画に変更はないのですか。

 再開発計画全体を見直すことは考えないのですか。



 これ以上の言い逃れやごまかしは、さらに市民の不信を増すだけです。最高責任者である市長自らの、誠実な答弁を求めるものであります。


 議題2は、住民基本台帳ネットワークの問題点についてです。


 住基ネットワークは、先月5日から稼動を始めた国家的プロジェクトであります。ところが、国が本来、先行して施行さるべき「個人情報保護法」も成立させないまま稼動を開始させたことで、市民からは不信の声があがっていることは、皆さんご承知の通りです。それだけでなく、システム上においても、多くの自治体でその不備が明らかとなり、総務省が常時接続を停止するよう命じた自治体は200以上に上っています。
 また、この半年間に、防衛庁ではボロボロと機密漏洩事件が発生しています。ペンタゴンにさえハッカーが侵入しているのですから、万全の機密保持は至難の業であることを知らない市民はいません。
 私は国家的プロジェクトであると申し上げました。ここで、確認をしなければならないのは、国家プロジェクトではないという1点です。住基ネットは、地方分権一括法による自治事務の範疇であって、決して機関委任事務ではないということを改めて、指摘しておきたいと思います。
 もし、この住基ネットによって、西尾市民の個人情報が漏洩したり、ハッカー侵入などで、消滅・改ざんなど不測の事態が生じた場合、その責任は市長にあるということです。
 市長は、この点をどのように認識し、不測の事態への対策を講じておられるのかを、議会として質さなければならないと、私は、考えるものです。
 市民の間では、「以前問題となり、立ち消えとなった『国民総背番号制』の復活であるから、受け入れ難い」との意見があります。しかし、これからさらに複雑化する年金、介護保険等々の行政サービスが市民に対して、等しく、遅滞なく提供されるためには、ある程度、統一的な事務処理もまた、考えなければならないでしょう。
 しかし、保険、年金など、今、各省庁別に保持されている情報が、原本を持つ現住市町村の手から離れ、どの程度一元化され、国の一括管理下に置かれるかは、また別の問題です。それは、個々人が、ある程度納得できる範囲内でなければならないのではありませんか。私は、個人情報の自己コントロール権が確保される必要を強く感じています。
 現行では、住所・氏名・性別など6項目とされていますが、西尾市だけでも、システム整備に7000万円、国全体では当初計画の400億円をはるかに越える570億円という費用対効果を考えれば、収容される項目がすぐ近い将来増えることは確実でしょう。
 今後も収容される情報が、市民にとって妥当、かつ欠くべからざるものなのかどうか、この点を、リスクも含めて検証するのは市の責務であります。先に述べたように、自治事務は市の判断業務だからです。
 総務省から、そして、県からのお達し通りではなく、西尾市独自のセキュリティーチェックはどうなのか、不測の事態発生時の対応は充分かどうかを市民に示していただくべく、お尋ねいたします。

質問要旨1)

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4)
 ネットワークに載る6項目は何か。年金・税情報はごく近い将来載るのではありませんか。また、他には何が載る予定なのですか。

 市のネットワークにはアクセスログ(情報照会記録)は残すのですか、残さないのですか。また、残すとすれば何年保存ですか。

 不正アクセス等に対する市の監視体制はどのようなものですか。

 西尾市以外で不正アクセス・情報漏洩・ハッカー侵入など不測の事態が発生すれば市にも同様の被害が生じますが、その場合は、即時に接続を断ちますか。


 
市民固有の個人情報が今後どのような体制のなかに置かれるのか、保護されるのか、わかりやすく、説明責任を果たしていただきます。


では、最後の議題3に移ります。 学校図書館の司書・司書教諭配置についてです。

 平成11年の学校図書館法改正により、来年度から、12クラス以上ある小中学校には、司書または司書教諭を置くことが義務付けられました。これは、学習指導要領の改訂による、総合学習・調べ学習の導入に伴った教育環境整備の目玉であります。
 西尾市では、他市より多く、すでに60人近く司書教諭免許の取得をすすめてこられたことは承知しています。しかし、この先生方が現実に、図書館業務に専念できる状況が確保できるかどうかが問題です。今回の法改正は、子どもたちに自ら情報を収集、選択し、その中で、自分の考えをまとめ、判断する力、総合的な自主学習能力を獲得させるための機関として、学校図書館を位置づけたものです。必然として、そこには常に、情報提供をする「人」がいなければならないのです。
 その、人は専任でなければ意味がありません。図書館が使われるのは、これまでのように、休み時間だけではないからです。これからの学校図書館は、単に読み物としての本をおいておけばいいだけの場所ではありません。授業時間に図書館がフル稼働しなければ、今回の一連の学習指導の改定に沿うものにはなりません。
 また、図書館業務は片手間でやれるほど簡単なものではないはずです。選書から登録、配架、蔵書整備、そして全体を把握した上で、さらに必要な図書を他から入手するのはレファレンス(情報提供)のためには最低限の仕事ですし、これらは、常に新鮮かつ正確な情報でなければなりません。さらに、学年毎に、クラス毎に、調べ学習をサポートするための準備時間を考えれば、容易な仕事ではないことがよくおわかりいただけると思います。
 そのためにはどうするかです。
 現在の教員数で充分な対応は可能なのでしょうか。また、改正に伴う政令では小規模校には配置が猶予されていますが、これはおかしなことです。教育の場での学習の機会に不平等は許されません。私は、むしろ、小規模校にこそ、専任の配置がなされるべきと考えます。
 また、本来、司書と司書教諭とでは、その役割に違いがあります。学校図書館に詳しい教育長には、釈迦に説法ではありますが、話を進めます。司書教諭の役割は、学校と図書館、他の先生とを結ぶ架け橋ですね。そして、司書は本の専門家として、先に述べた、情報提供にかかる役割を担っているものと、私は認識しております。そして、これは、そのどちらの役割も、教育の一環であり、学校経営そのものであるという意味において、ボランティアが代われるものではありません。
 私は、現場に混乱を来たすことなく、子どもたちの教育環境を整備するには、司書の導入が最善ではないかと考えるものです。現実に、学習目標が変化している以上、これを達成させるためには、絵に描いた餅では、まったく意味がないことは、教育長も教育部長もおわかりのはずです。『教育は百年の大計』とおっしゃり、6月議会で、私に、教育予算の増額を約束された市長にあっては、特に理解を深めて下さっているものと思います。

 そこで、次の4点についてお聞きします。子どもたちのための法整備に伴う予算配分が、西尾市では、なされるのかそうでないのか、教育を大事にする市政といえるのかが問われる重要な問題です。


質問要旨1)


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 平成15年から、学校図書館に司書または司書教諭の配置が義務付けられていますが、配置計画はどのように考えられますか。専任の配置はなされるのですか。

 総合学習・調べ学習の本格導入に伴い、図書館も、本の貸し出し中心から、情報センター機能の必要性が極めて大きくなっていますが、これへの対応はできているのですか。


 週5日制によって、教員の授業時間は各人24時間以上に増えている現状では、司書教諭の辞令交付がなされても、実質、図書館業務はできないと思いますがどうですか。

 司書教諭は教員と図書館の橋渡し、司書は図書の専門家として授業に直結したレファレンス(情報提供)業務に蔵書整備と、その役割には違いがあり、これらはボランティアの領域ではないと思いますが、どう捉えていますか。