平成14年6月議会一般質問

                                                                     議席番号1番 鈴木 規子

  私は、今6月議会では『患者本位の市民病院改革』、『子ども本位の教育の充実』、『青少年向けの公園・施設の充実』についての3議題16項目について質問します。
 まず第1番目は『患者本位の市民病院改革について』です。
 今、本屋へ行くと、医者へのかかり方、薬の見分け方やらを書いた本が山のように積んであります。先日、私も「安全な医療を求めて」という講演を聴き、「患者にもできる医療事故防止の10ケ条」というのを教わってきましたが、まさに、医療に対しても、消費者としての感覚、すなわち、いい商品を納得できる値段で選ぶという時代になってきているといえましょう。新聞でも、いい医者を選ぶための情報がどんどん提供されています。またそれは、とりも直さず、医療過誤や事故の多さを示すものでもあります。

 ちまたでは、西尾の開業医は、市民病院ではなくもっぱら市外の病院を紹介するという噂がありますが、本当だとすれば、誠にゆゆしきことと言わなければなりません。
 西尾市民病院では、地域基幹病院として、患者のニーズを踏まえつつ質の高い医療を安全かつ効率的に提供していくために、組織体として、どのように機能の充実・向上をはかっておられるのでしょうか。

 医療に対する市民の目は日々厳しくなっています。病気の治療は、「先生、よろしくお願いします」と医療者だけが任され、その治療方針から何から何まで決定する時代ではありません。本人・家族が、正しくその状態を知り、自らの納得と判断で治療を行う「インフォームド・コンセント」が求められています。
 患者と医師の間に、個人の医療情報は、その人自身のものであることの共通認識なくして「適切な治療」はあり得ないといわなければなりません。従前は、ともすれば、患者が置き去りにされる状況がありましたが、インフォームド・コンセントには、本人自身も治療チームの一員、共に病気と闘うとの前提があるといえましょう。

 西尾の市民病院も新築移転から早や10年になろうとしています。この間、関係者におかれては日々、努力を重ねて来られたことと思いますが、患者への情報提供とメンタルケアは充分でしょうか。医療技術がどんどん高度化していくなか、医療者とて完全万能ではありません。ミス防止には、あらゆる角度からのチェックシステムの整備しかありません。
 どんなに進んだ機械や技術があろうとも、とどのつまりは、人と人との関係につきるのもまた医療であります。そうした中で『患者本位の市民病院』をどのように実践されるのかをお尋ねします。

 ご承知のように、安城厚生病院が西尾市に近いところに新築されましたし、岡崎市民病院も新しくなりました。これからは、病院も競争の時代です。もちろん、教訓を生かしての危機管理など、西尾市民病院が積極的に改善されている点もあると思いますが、まだまだ改革されるべき点も多いのではないでしょうか。
 そこで、次の6項目についてお尋ねしますので、インフォームド・コンセントの精神で、わかりやすくお答え下さい。
質問要旨
1.地域基幹病院としての位置づけをどう確保し、一般開業医どう連携をとっているのですか。

2.患者へのカルテ・レセプトの開示など、情報公開はどの程度進んでいるのですか。電子カルテ導入の考えはありますか。

3.治療方針について、患者・家族と充分な話し合いがなされ、説明責任は果たされていますか。
  メンタルな部分でのケア体制はどのようにとられているのですか。


4.在宅医療が充分に担保できないため「社会的入院」が多いと聞きますが、
  訪問診療・訪問看護の体制づくりを積極的に考えるべきではないのですか。


5.医療ミスの予防策はどのようになされているのですか。

6.医師・看護師はじめ医療者の研修内容とその予算は充分か。
  初歩的な衛生管理ができていないとの市民の指摘を聞きますがどうですか。


2議題目は『子ども本位の学校教育の充実について』伺います。こちらも、まさに人と人が信頼の絆で結ばれるべき場であります。
 週5日制が本格導入され、2ケ月が経ちました。この制度自体は何年も前からわかっていたことですが、本市の場合、前教育長は安閑としておられ、準備不足の感が否めません。新指導要領の実施といい、現場に混乱はないでしょうか。教育長も新しくなられましたので、率直なところをお聞きいたします。

 少人数制は昨年から一部の学校では行われていましたが、全校配置の状況はどのようでしょうか。
 一部では、学力低下の心配などが言われています。私はこれについては、一定程度、新制度が落ち着く期間を待っての評価がなされるべきだと考えてはおりますが、あらかじめ伺っておけるような点があれば、いらざる心配を防ぐことにはなりますのでお知らせ下さい。
 当事者である子どもたちにとってはわかりやすい教科内容が用意されているのでしょうか。充分に時間をかけてひとりひとりをみる授業となる、新指導要領であることを願っていますが、いかがですか。子どもたちは先生がゆとりを持っていらっしゃるかどうかをよく知っています。小学校低学年といえども、先生の一言ひとことに敏感に反応することは、私も親のひとりとして驚いたことがございます。
 また、土日の受け皿として、運動の講座については、3月議会で、その一端をご説明いただきましたが、それ以外のプログラムはいかがでしょうか。おりしも、防災対策がクローズアップされている時です。子どもたち自身による、防災・防犯・交通安全の面からの通学路点検が地域の大人たちと一緒に行うことができれば一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなるのではないでしょうか。

 さて、愛知県はご承知の通り、ブラジル系住民が多い地域です。わが市のそれも、豊田市、豊橋市に次いでおり、緑町住宅などは、住民割合からすれば豊田の保見団地よりも集中の度合いが高いなか、指導にあたる先生方も大変ご苦労があるのではないかと考えます。
 この問題に関しては、国・県の対応は決して充分とはいえません。しかし、不充分だからといって放っておけるものではありません。やはり、市としても相当の予算措置で人的に補わなければ、現場の努力や責任だけに押し付けられるものではないのではありませんか。

 言葉の違う子どもたちにきちんと基礎学習を保障することは、日本の社会のあり方を学び、その一員としてよき住民となってもらうため、必要不可欠なことでもあります。そのための基本となるのが日本語学習です。市内に通学する109人の子どもたちのうち、日本語教育が必要と教育委員会が認識している子は89人にのぼります。
 職員研修、学校での教材、その子たち用の教科書、親御さんとの連絡体制などは充分でしょうか。お尋ねいたします。

 悲しいかな、この10年以上、教育予算は減少の一途を辿っています。12年度決算で見ると、38億9千万円と、平成元年とかろうじて同額。歳入総額は3割増、総務費は9割増、民生費に至っては2.3倍増の変化に比べて下さい。それも校舎や公民館の建設を含む時のみが同額になるだけですから、実質、ずっと減額の状態が続きっぱなしなわけで、ソフトへの予算がまったく顧みられていないのは問題です。
 財政は厳しい中ですが、子どもたちにとって1日1日は、その時しかないわけで、1日の遅れ、1年の遅れは、次に取り返す機会はありません。これは、どの子どもに対しても等しくいえることです。市長は常々、教育は百年の大計とおっしゃっておられます。この言葉をどう実践しておられるのかを伺います。

質問要旨
1.小人数制導入はどのように行われているのですか。

2.週5日制も鑑み、習熟度別の指導が有効と考えますがどうですか。

3.土日の有効活用と親はじめ地域との1方策として学校周辺、
  通学路を子どもたちと一緒に点検することを考えませんか。


4.外国籍、特にブラジル系ポルトガル語を使用する児童・生徒への人的支援、教科書、教材は充分ですか。

5.それら家族への教育支援の呼びかけのための方策はどのように行われているのですか。

6.外国籍の子どもたちへは保育園から小学校、小学校から中学校への連携が必要ではありませんか。


 
以上6点について、納得できる答弁をお願いいたします。

 さて、3議題目は『青少年向けの公園・施設などの必要性について』です。
 最近の西尾駅東口の賑やかさ、ペデストリアンデッキで、高校生や中学生が楽器を演奏したり、歌ったり、踊ったりしている様子をご存知の方も多いと思います。土日には、何組ものグループが集っていますし、夜は夜で、スケートボードの若者が駐車場を走り回っています。
 ストリートパフォーマンスというのでしょうか、名古屋の金山総合駅などでも、そうした若者たちがたくさんいます。皆、楽しそうに、それぞれに自分を演出しているようです。ただ、一方では、それを迷惑そうに見ている大人たちの目もあります。しかし、考えてみますと、西尾市内に、13、4歳から20歳前後の若者たちが自由に使える空間が、どれほどあるでしょうか。

 昨年の広報にしお7月1日号では、スポーツのすすめという特集記事がありました。ここでは、週5日制を前にして、子どもたちのスポーツ環境の整備には力が入っていましたが、いわゆる若者世代のことに関しては、「練習場」というタイトルでスケートボードを取り上げ、必要性は認めるものの、問題提起だけに終わっています。その後、状況はどのようになっているのでしょうか。
 私は、若者たちにも、意見をどんどん聞き、彼ら自身が主体的に行政に関わっていく環境を整備していくべきと考えます。主体的な関わりがなければ義務や責任への理解も生まれません。昨今の成人式の様子に明らかなように、子どものままの成人では悲しい限りです。しかし、それを嘆くだけでは何の解決にもなりません。自分たちの居場所ができるかどうかということがテーマであれば、若者たちにもとっつきやすいのではないでしょうか。

 幸い、スケートボードについて言えば、東部中学の子どもたちからも直接、市に意見が出ていると聞きますがどうですか。私も、駅東広場の高校生バンドの子や、観衆の子どもたちに意見を聞いてみました。きちんと名前も明らかにしてくれましたが、やはり、気軽に使える場所、集まる場所を求めていることがわかりました。

 大人たちは、茶髪やバンドなどを見ると、どうしても拒否感が先に働いてしまうようですが、それこそ、その先入観が問題ではないでしょうか。何やってるんだと怒り、ここで遊ぶなと言って、その場を追っ払うだけでは何の進歩も対話もありません。追っ払うというなら、行き場を作らなければ、彼らの疎外感はさらに増し、それこそ健全な子どもたちを本当に非行に追い詰めてしまうことになりかねません。

 片や、青年の家や勤労青少年ホームでは、ここ10年以上、閑古鳥が鳴いています。古い、汚いというだけでなく、運営の仕方、使い勝手に問題はないでしょうか。個人では駄目だったり、勤労青年向けしか考えていないようでは、若者たちの多様化し、高度化したニーズからはかけ離れすぎていると思いませんか。今は、いつでも誰でもOKという、コンビニ感覚が必要です。現にそういう市町村もあるのです。

 補助金でつくった大昔の、しかも時代に合わない施設があれば、それでいいというものではありません。魂を吹き込まなければ意味がないのです。市には、若者も大切な市民であるという感覚が欠けているのではありませか。
 お題目だけでなく、本当に若者が集まる西尾にするために、次の4項目を伺います。積極的な答弁を求めます。

質問要旨
1.東京杉並区・犬山市など他市では、管理運営を青少年に任せ活性化されている公的施設がありますが、
  西尾市も現施設をそうした形にする考えはありませんか。


2.勤労青少年ホームを改造して、使いやすく安価なバンド練習スタジオを作りませんか。

3.青少年向けにスケートボード公園を作りませんか。

4.そうしたニーズを取り込むための、青少年主体の継続的な意見交換の会を設けませんか。


 
以上、登壇による質問といたします。