平成13年12月議会一般質問
                                          
 本田市長は、先の市長選挙に際して「4期目はこれまでの施策の総仕上げである。手塩にかけた大型事業を完遂し、更に、市民と共に歩む市政を実現したい」と、35もの公約を掲げておられます。
 私は、新年度に向けて、市長がどのように西尾市を運営していこうとしておられるのかを質すべく、まず「平成14年度予算編成方針について」、そして「市の出張所サービスの拡充について」、「情報処理システムと管理について」の3議題について質問いたします。

市長におかれては、10万市民との契約である『公約』実現のために、1,300余名の職員に対して、 具体的にどのような指示を出しておられるのか、市民にわかりやすく示すことを念頭において、お答え下さるようお願いいたします。
 そもそも、予算編成方針とは、市長の市政運営についての考え方そのものを表すものです。自治省から各自治体に向けて送られた書簡に示された国の財政状況と収支、及び経済・雇用・人口動向等、流動的な諸情勢、重点政策、補助金の設定などを認識し、踏まえたうえでのことではあります。が、しかし、あくまでも、市政運営の最高責任者である市長が、 次年度の収入をどのように見込み、どのように市政運営を行うかの方向性を職員に示すものであります。
 地方分権法も施行されて久しいのです。市として独自の政策をいかに盛り込むか、福祉なのか、環境なのか、教育なのか、次年度に重点を置くべきはどこなのか、市長の手腕そのものが問われる場なのです。

 市長が600億円にも及ぶ『市民の血と汗の結晶』を預かり、それを、どう市民に還元するかを職員に示す場であります。財政が厳しければ厳しいほど、強いリーダーシップが必要です。削るべきは削り、逆に、ここは重要だという部分については、具体的に示し、思い切った投資をするという市長の意思表示が必要です。でなければ、職員は動きません。
 国の意向のままに、声の大きなものに左右され、メリハリも何もない予算しか立てないのなら、市長なんて、いなくてもいいのです。職員は自分の縄張りの範囲の予算が獲得できればそれでいいのですし、タテ割り行政そのままに、遅れず、休まず、働かずという、親方日の丸体質は改まることはありますまい。

 景気がいい時なら、それでも市民は大目にみてくれるかもしれませんが、民間ではリストラが進み、どこも安穏としているところはありません。中小企業は言うに及ばず、今や、大手ですら身を削って、何とか生き延びる策を講じていますが、それでも倒産が続出しているのが現実です。
 市とても、例外ではありません。景気が冷えれば、必然的に税収も減ります。これまでは補助金を当て込んで、建物(ハコ)を作ってきましたが、中身のないハコには人は寄ってきません。これから作るなら、何のために作るのかが明確で、中身も伴ったものでなければなりません。 補助金は3割も5割も減らされています。西尾市も交付税不交付団体に戻ったといっても、それは、国の算定基準の改定と法人市民税が少しばかり予測を上回った故のことで、決して、財政状態が安城や碧南、刈谷市並になったわけではないのです。

 市の財政の逼迫状況を職員にも議員にも、もっともっと周知徹底しなければなりません。そして、自らも知恵を出さなければならないのではありませんか。
だから、予算編成方針は市長名で示すべきです。
 トップが、方向、優先順位を具体的に示して、どんどんやれ、責任はオレが取ると言えば、職員は動きます。
 心ある職員は、決して今のままでいいとは思っていません。もっと効果的な予算の使い途はあると考えている職員も多くいるのです。市長は、もっともっと職員にモチベーションを与えなければならない、やる気を喚起しなければならないと、私は思います。
 また、各課が自分の仕事だけをしていればいいほど、市の仕事は単純ではなくなりました。どの事業ひとつをとっても、各課の連携が必要です。特に、市民に身近な分野ほど、各部課にまたがっています。
 それを、どう整合させ、有効に機能するようにするか、助役の調整機能が求められます。
 職員それぞれにパソコンが入り、庁内外LANも整備されて、情報のプット・アウトは瞬時に可能になりました。市長は、それらをご覧になっているのでしょうか。本当に必要なのは、それら道具を手に、何をするか、です。
質問要旨
1)予算編成上の、14年度の最重点施策は何ですか。

2) 現在は、 総務部長が出しているが、 市長あるいは助役が出すべきではありませんか。

3) 一律5%カットという定型的な緊縮型の削減方針は止め、具体的なスクラップ&ビルドの方針を打ち出すべきではありませんか。

4) そのためにも新規事業、拡充事業については、事業終了年度を設定する必要があるのではないですか。

5) 各部課の実施事業と予算額に応じた人員の再配置を勘案すべきではありませんか。

6) 担当部課間を調整する機能が不充分であるように思われるが、 もっと市長・助役がリーダーシップを発揮するべきではないですか。
        
7) 減税補填債の一括償還に向けての対策は盛り込まれているのですか。

8) 職員全員に現在の市の財政状況を周知徹底できるように、財政分析表を添付するべきではありませんか。


 
市長ご自身の明確なる答弁を求めます。

では2議題目『市の出張所サービスの拡充について』について、お尋ねします。
 市長には、他市に比べて、西尾市の行政サービス提供施設の設置がないことについての、市民のブーイングが聞こえているでしょうか。もし、聞こえていないとすれば、13年にも亙る長期政権で、市民の声が届かなくなっているということではないでしょうか。

 西尾市では、いちいち、市役所へ来なければ、各種証明書を受け取ることも申請をすることも出来ません。安城でも碧南でも岡崎でも、次々と市の支所・出張所が出来ています。歩いて行ける場所で、用を済ますことができるのです。
 県内各市を見ても、豊田市では7ケ所、岡崎市は6ケ所です。お隣の安城市でも3ケ所あります。西尾と人口同程度の稲沢市は面積が半分ですが、市民センターが7ケ所あり、碧南市は、人口も面積も、西尾市の半分ですが、北・南・中央・図書館内と4つの出張所があります。

 各市では、公民館に市の出張サービス施設を併設させています。しかし、わが市では、それは寺津だけで、それも4種類の書類申請のみです。
 公民館運営は生涯学習課のみが抱えるのではなく、市民課も福祉課も係わらなくてはいけません。各種相談も、市民の近くまで出かけて利用していただく「出前」をすればいいのです。誰でも、いつでも、簡単に市役所まで出て来られるわけではないことを、市長は、どの位認識しておられるのでしょうか。土日は休みの市役所です。市民は、休みを取り、わざわざ時間をつくって、来られるのです。お年寄りは、数少ないバスに乗り、1日仕事で相談に来られるのです。
 歩いて行ける場所で用が済めば、どんなにいいでしょう。また、そこで市の施設を借りる手続きが簡単にできれば、どんなにか、便利になったねぇと言っていただけるでしょうか。「住民サービスコーナー」といえるものが必要なのです。
 近隣では、どこも、公民館に併設されている、それだけでなく児童館、図書館分館、体育施設などを持つコミュニティセンターとなっています。 安城では、老人にはデイサービス機能、乳幼児には遊びの場もある、地域福祉の拠点となっており、西尾市民の羨望の的になっていることを、市長はご存じのはずです。

 岐阜県多治見市は、人口・面積ともに西尾と同じですが、何と11ケ所もの地区事務所が小学校区に1つづつあります。
 その地区事務所では、市民課の業務では戸籍謄本から住民票の交付はもちろん転出証明、ICカードの登録まで10項目、他に、保険年金課16項目、税務課6項目、環境課5項目、住宅建築課2項目。介護保険関係では12項目、道路河川課、水道課、下水道課、福祉推進課と続き、生涯学習課では体育施設の貸出と、全部で66項目を扱っており、全体で年間13万件の利用があるとのことです。
 ここまでやれとは言いません。しかし、このように、市民課の窓口業務だけをとってみても、7万2千件全体の55%にも及ぶ処理をする市があるのも事実です。
 特に、国は、全国的に、市民課の各種証明・申請は、全国どこからでも入手が可能となる『電子自治体』計画を進めようとしています。今や、市内での入手に不自由するなど、論外であると言わねばなりません。
 寺津出張所も土日は休みです。公民館自体は開いており、正規職員がいても、出張所サービスは休みとは、いかにも納得できない話ではありませんか。これでは、とても、市の出張所とはいえない内容ですから、全国の市町村役場便覧には載っていませんし、昨年で2500件と、利用数も増えないのは道理です。
 そこで、質問です。
質問要旨
1) 市民に身近な行政サービス実現のために「出張所」を「住民サービスコーナー」としてはどうですか。

2) 現在の出張所は、わずか4種類の書類交付でしかないが、これを改め、 サービス提供内容をもっと拡充すべきではありませんか。
  
3) 市民から見た市民サービスの本来の在り方は「出前方式」ではないか。とすれば、少なくとも中学校区程度には「住民サービスコーナー」を設置すべきではないですか。

4) 土日にも「出張所」を開くべきではありませんか。


市長の答弁を求めます。
 
 続いて、3議題目『情報処理システムと管理について』お聞きします。 西尾市基本計画では市民の生活向上に資するべく、地域情報化システムを始め、情報の電子化を推進することになっています。

 都市計画課では積極的にデジタル化を取り入れ、地図情報をコンピュータ上に画像処理するシステムを導入しました。昨年、総務委員会では沖縄市の地域情報化システムを視察してきましたが、それが、まさしく、このシステムでした。
 航空写真で撮影したデータを入力し、地番から検索しますと、そこを中心に周辺地図が表示され、必要なデータ、例えば、用途地域・防火地域・区画整理区域・都市計画区域・計画道路・公園・緑地などが、最初の地番の上に重ね合わせる形で表示される、とてもわかりやすく便利なシステムであります。
 しかし、多くの課では、以前として、アナログ情報、原始的な土地台帳をめくりながらの作業が続いています。
 税務課とは、連携を取り、データ入力を済ませて互換性を確保しているようですが、他の課のデータは、まったく入っていないと聞きます。
土木、下水道とは同じ建設部であるのに、互換性がないなどとは考えられない、まさに宝の持ち腐れではありませんか。
 未だに、土地台帳が頼りでは、データの変更その他、新規記入事項がある度に、その処理にどれほど膨大な時間と人手がかかるでしょうか。
 画像処理の利便性は、使ってみて、本当にその真価がわかるものですが、土木、下水道、農地を管理する農林水産課では、この点をどのようにとらえていますか。

 また、年度末3月になると、市内各地で一斉に、道路の補修その他の工事が始まります。あぁ、今年も予算消化の季節になったなぁと、市民の皆さんが、おっしゃいます。そうでなくても、つい先日、歩道がきれいに舗装されたなと思っていたら、半年もたたないうちに、同じ所を掘り返して、下水道やら何やらの工事が行われるのは日常茶飯事で、市民の顰蹙をかっているのは、皆さん、よくご存じではありませんか。
 「土地に関する市の情報」が一元化され、どの課でどのような事業が計画されているのかが一目瞭然となれば、掘って埋めてという、まさしく無駄なことがなくなるのではありませんか。そこで節減できる経費を考えれば、私は、各課のシステム導入は至極簡単なことと考えますが、どうですか。
 同様のことが、民間企業、少なくとも、公共事業であるNTT,中部電力等と共有できるならば、より一層の効果が望めるはずです。何か1つ位、この地域で、西尾市が先鞭をつける事業があっていいではありませんか。

 姉妹都市ポリルアのあるニュージーランドでは、革命的ともいえる行政改革が行われ、大成功を収めたことは、市長以下皆さん、ご存じのことと思います。なかでも、その最大のものは、コンピュータによる情報処理システムの導入と活用であると承知しています。
 私も、ポリルアから表敬訪問に来られた議員や職員が、なぜ、西尾では役所の机の上がこんなに書類で一杯なのかと、真顔で質問したという話を聞いております。市長、ほとんどの議員がポリルアを訪れています。姉妹都市のそうした先進性は、ぜひに、西尾に生かしていかなければ、海外視察費が泣きます。

 さて、そうした場合の地震対策です。ニュージーランドも地震国ですが、日本は言うに及びません。つい1週間前、愛知県も東海大地震の発生範囲と発表されました。先に指定された新城市だけではなく、県全体に非常事態が広がったわけですが、西尾市の地盤の悪さは周知の事実で、三河大地震では3000人もの死者を出しています。
 西尾市のコンピュータシステムのバックアップはどのように担保されていますか。特に市庁舎の耐震性に問題があるとの指摘があるなか、まさかの時への対策は一二分にとられていなければならないと考えます。
 そこで質問をいたします。

質問要旨
1) 都市計画、土木、下水道、農林水産課等が管理する「行政マップ情報」は、未だに一元化されていないと聞くが、そうですか。

2) 早急に関係各課の情報の互換性を確保して、事務処理の効率化を図るべきではありませんか。

3) 情報管理のバックアップ体制はどのようになっているのか。 緊急時の対応は充分といえるのですか。


 
以上、市長自身の誠実な答弁を求めて、登壇による1回目の質問を終わります。