平成13年6月議会一般質問

                                         鈴木  規子

  本田市長の任期最期の議会にあたり、私は、公園事業、 ホワイトウェィブ21、及び、身体障害者の24時間ホームヘルプ事業についてお聞きします。

  ご承知のように、緑を育てるには、膨大な年月がかかります。人を育てるのと同じように、時間と、計画性が必要です。そうしてつくりあげられた、豊かな都市空間は、その街の大きな財産になるのです。

  しかし、残念ながら、この12年間、西尾市の係わる公園の緑・街路樹の緑は、まったく増えることがなかったといっても過言ではありません。

  市長就任の平成元年以降、市街地に都市公園はいくつできたでしょうか。できたのは、住崎、伊藤町など区画整理に伴うものばかりで、それも2、3年に1ケ所がせいぜいです。市長は、一体、本気で「公園作り」を考えて来られましたか。本当に「環状公園化構想」を持っていらっしゃるのでしょうか。

  市街地以外の周辺部には古川公園、中畑の河川敷公園があります。それで、市としての公園面積は多いように見えます。しかし、肝心の日常生活の場である市街地にあまりにも、公園が少ないのです。子どもたちが子どもたちだけで遊びに行ける公園、やさしい木陰のある公園がないのです。

  西三河の他市を見てみました。

  ごく日常的に使える街の中の公園を、街区公園・近隣公園といいいますが、平成11年度「愛知県都市公園現況」によりますと、この両「公園」の数が、岡崎が155ケ所、豊田107ケ所、刈谷90ケ所、安城59ケ所、知立が37ケ所、碧南32ケ所、高浜15ケ所、そして、西尾は最下位で11ケ所となっています。トップの岡崎の1/11しか数がなく、西尾よりはるかに市域面積が少ない高浜よりも、数が少ないのです。お隣の碧南の市域面積は西尾の半分ですが、公園の数は何と倍ということになります。

  人口ひとり当たりの面積で比べてみます。 こちらは刈谷がトップで2.81u、知立が2.39u、安城が2.17u、岡崎1.96u、高浜が1.73u、豊田が1.70u、碧南が1.68u、 そして、西尾がダントツの最下位で0.67uしかないという悲しさです。

  刈谷の市民は西尾市民の4.2倍も広い公園面積を持っていることになります。

  12年前から、この最下位状態はまったく改善されることなく、今日まで続いている現状を、市長は認識しているのですか。

  新しく西尾に引っ越してきた、特に子育て中のお母さん方が、西尾では、どこで子どもを遊ばせたらよいのかと驚くのは当然でしょう。

  市長は世論調査の度に、世代を越えて、毎回上位に出てくる「木陰のある公園が欲しい」という市民の声を、どう聞いておられるのですか。                      

  平成12年度の世論調査では、市の行政施策の中で特に力を入れて欲しいもののうち「公園と緑化」の要望は全体では第2位で、子育て中の20代では、特段に高く45.8%の方々が要望の第1位にあげておられます。何故ならば、少ない公園の殆どが、また、緑のボリュウムの少ない貧弱なものだからでしょう。

  公園・緑化対策は、市の実施すべき最優先事項なのです。

  写真を少しお示ししたいと思います。これは、名古屋栄の久屋通り公園、一番南の一画です。東西に53m、南北に40m、2120uです。そんなに、広いわけではありません。しかし、こんなにも緑のボリュウムがあります。これだけの緑の広がりを持っているのです。

  また、これは、同じく名古屋の地下鉄藤ケ丘駅前の、ほんの小さなスポット公園です。ビルとビルに挟まれた15m四方もないような、公園ともいえないような空間です。ところが、ご覧のように、3本の高い木と、それを囲むように作られた木のベンチで、立派な憩いの場所となっています。

  もう2枚、写真を見ていただきましょう。これは、住崎2丁目の公園です。

できて8年以上経っているのですが、残念ながら、緑の量はご覧のようにほんの少しだけです。大きさは先ほどの久屋公園とほぼ同じです。東西に広いところで62m、狭いところで50m、南北は37mあるにもかかわらず、緑のボリュウムを見て下さい。とても木陰あふれる公園とはいえません。

  植樹は北側には、まずまずの間隔で植えてありますが、西側は、四阿がありますが、木はまばらですし、東側と南側にはまったく植えられていません。

それで、こういう風景になるわけです。これでは、せっかくの市街地公園が生きてきません。どれだけの活用が期待できるでしょうか。残念このうえない話です。

  言うまでもなく、市街地の公園は、子どもやお年寄りが憩う場所、家族団欒の場所というだけでなく、災害時には火災の延焼を防ぎ、避難場所となる、

市民の安全確保になくてはならない、市政運営上、必要不可欠の場所でもあります。緑あふれる公園があっちにもこっちにも、数多く必要なのです。

  市長はこの点を理解しておられるのでしょうか。特に、愛知県は東海大地震の可能性も大きく、現に西尾は、三河地震も経験しているではありませんか。

  昔から、お寺には必ずイチョウの木を植えるといいます。東京浅草の浅草寺に立派な五重の塔がありますが、これが、あの関東大震災でも焼けないで残った。何故かと言えば、すぐ脇に植えてあった水分を多く含むイチョウの木から、水蒸気が霧のようにわき出て、塔を守ったという。皆さんもよくご存じの話であります。

  市民に樹木を寄贈していただいて「市民の森」をつくってしまう、こんな計画はどうでしょう。20年30年後の子どもたちに、借金ではなく、本当に喜んでもらえるものを残すのが、私たち今の大人の責任ではありませんか。

  さて、県道も市道も、西尾の街路樹はいつも丸裸です。青々と葉が茂っている時がありません。電線に触れる、台風で倒れるとの理由で剪定され、伸びる時がありません。

  これは、つい先日、総務委員会で視察に行った沖縄市です。あれだけ台風があるにもかかわらず、電線より上に、枝が伸び、葉が茂っているのと比べてみて下さい。

  こちらは、名古屋の地下鉄藤ケ丘駅前の街路樹です。年中、2階まで届くこの高さで、暑い時期には、歩道を行く市民に木陰を提供し、いざ火災となれば、防火帯となるでしょう。

  街路樹にはどんな土地に、どの木がいいのか、防災には、どのような木が適するのか、どの程度必要なのか、植木の町といわれる「西尾」に知恵がないわけがないではありませんか。なぜ、それを活かさないのですか。

  さて、市街地中の市街地、高砂公園用地です。

  防災公園にということで、平成10年に市長がお買いになった。阪神淡路を教訓に、まずはモデルをひとつ作るということだなと、私も喜んでおりました。ところが、これに一向に予算がつかない、3ケ年計画にも、まったく載ってこない。これはどういうわけでしょうか。市長はこの土地をいつまで塩漬けにしておかれるおつもりなのか。市民に理解出来るよう、ご説明下さい。

  では、公園事業について、次の6点を伺います。


質問要旨1) 市長は、街区公園・近隣公園ともに西三河8市中、最下位である西 尾市の市街地公園の少なさをどう考えるのですか

質問趣旨2)市長は、防災の見地からの市街地の公園の役割・必要性をどう考えますか。

質問趣旨3)市長が防災公園用地として急遽購入した「高砂公園」は、3ケ年計画 にものっていませんが、いつできるのですか。

質問要旨4)市長は、市街地の緑地帯・防火帯としての街路樹木について、どう考えるのですか。

質問要旨5)市民から、緑化木・広葉樹の寄贈を募って「市民の森」をつくっては どうですか。

質問要旨6)環状公園化構想はどう進めるのですか。

では、2点目に移ります。世論調査では、必ず上位に要望あがった、市民待望の公営プールがいよいよ供用開始となりました。この「ホワイトウェィブ21」の「西尾市民」の利用について伺います。

  西尾市からホワイトウェィブに行くには、宅野島交差点から宅野島橋を通らなければなりません。ところが、ここには歩道がなく、路側帯も十分にありません。橋の手前の路側帯は、右側も左側もわずか45pしかないのです。

橋自体の歩道部分もわずか75pの幅しかありません。

  ご承知のように、クリーンセンターができてから、このセンターに出入りするゴミ収集車の通行量は日に約300台を数えております。これらの収集車の多くは宅野島橋を通ります。それ以外に通過車両も非常に多く、さらに、ホワイトウェィブに来る人の車もかなりの数にのぼるでしょう。

  小学生やお年寄りなど車に乗らない人、自転車の人は、この危険極まりない道路を通らずには、新しいプールに行けないのです。市長は、この事態をどのように考えておられるのでしょうか。

  私が小学生の母親なら、風の強い日など、とても心配で、子どもを出すことはできません。事故があってからでは遅いのです。

  吉良町側の岡山地区はクリーンセンターの開業とほぼ同時に歩道が整備されたのに対し、西尾市側は歩道が設置されない危険な道路です。しかも今年度の予算にも歩道整備のそれが見えません。このホワイトウェィブへの道路の危険性は何年も前からわかっていたことであります。市長の見解を伺います。

  同様に、車を持たない交通弱者は、どうやってホワイトウェィブまで行けばよいのでしょうか。待望のプールはできたけれど、利用できない市民が生じることを、西尾市として、どのようにお考えですか。

  また、近隣の市営プールを調べてみますと、安城マーメイドパレス・刈谷ウォーターパレス・一色町民プール・刈谷洲原温水プール・幸田町民プールB&Gと、ほとんどが「高齢者割引」を実施しています。うち4ケ所は通常の半額です。これからの高齢社会を生涯現役で過ごすために、水泳やプール歩行は非常に効果があるとききます。42億円もかけた施設です。より多くの西尾市民に元気でいただくためにも、割引制度を講じるべきではありませんか。

  また、一色町B&Gのように小学生の割引も考えてはいかがですか。

  さて、先のオープニングに、私も楽しみに出席させていただきました。最新の施設ですから、障害者にもやさしい施設であろうと期待して行ったわけですが、何人の方に聞いても、障害者用の更衣室・トイレの場所がわからないのです。しばらくしてようやくわかったのですが、何故わからなかったのかといえば、健常者とは、出入口がまったく別になっていたからです。それも「関係者以外立ち入り禁止」の表示のある、重い鉄のドアの奥にあったからです。入る時は、切符売り場の職員が開けてくれるそうですが、出る時は一体どうするのでしょうか。車椅子の障害者ひとりでは、まず使えません。いくらプールに入れる人でも、入口で阻まれてしまうのです。それとも介助者がいなければ使えない施設なのでしょうか。

  人にやさしい街づくり条例、バリアフリーは、できるだけ、障害者が自力でできるところはできるように施設をつくるのが基本です。そして、できるだけ、障害者を隔離しないように、健常者と触れ合い、助け合う機会を増やすことが望まれています。こうした施設では、特に子どもたちへの教育にもなる貴重な場にもなると考えるべきではないでしょうか。人にやさしい街づくりを進める市長として、現状を改良するお考えはありませんか。

  流水プールは100pの深さとききますが、幼児、低学年児にとっては、危険のない深さでしょうか。安城は80pで、同様の多くのプールで採用している深さだそうですが、配慮は充分でしょうか。

  今年度の西尾市の広域圏の負担金は12億8千万円にも及びます。広報にしおでも宣伝されています。多くの市民の訪れる施設にしたいと思います。


質問要旨1)宅野島交差点から、現地までの歩道の設置はいつですか。

質問要旨2)西尾市として、送迎のシャトルバスの運行をする考えはありませんか。

質問要旨3)西尾市として、小学生・高齢者への割引制度を設ける考えはありませんか。

質問要旨4)施設のバリアフリーについて、どう考えるか。身体障害者用出入り口を引き戸、あるいは自動ドアにするために、負担金を追加納付する考えはありませんか。     

質問要旨5)子ども・低学年児への配慮をもっと充分にするために負担金を追加納付する考えはありませんか。

質問要旨6)開設後、市民からの要望・意見にはどのようなものがありましたか。また、その改善のために負担金を追加納付する考えはありませんか。

  
3番目の議題は「身体障害者の24時間ホームヘルプサービスについて」お尋ねします。介護保険が開始されたため、昨年1年間「見直しのため休止」とされていたこの事業が再開されたのは、まず、幸いなことであると思います。

  現在、高齢者は、介護保険によって、本人や家族が望むサービス提供業者を利用することができます。措置制度から自由契約制度に変わった大きな利点であり、これによって業者間に市場原理が働き、よりよいサービス競争が期待されるようになるという、介護保険の謳い文句であり、選択の自由という、人権にも配慮したものでもあることは、皆さんご存じの通りです。   

  ところが、今回の場合、予算委員会での説明を聞きますと、サービス提供業者は、入札で決定し、その業者にのみ委託をするとのことでした。

  サービスの内容は、平成11年以前は老人福祉で実施していたものと同じであって変化はないとのことです。それならば、なぜ、現在、介護保険で、高齢者に対して行われているのと同じように、利用者がサービス提供者を選べないのでしょうか。

  老人には業者選択権があるが、障害者にはないというのでは、まったく不合理ではありませんか。

  サービス提供は、介護支援センター運営事業を行っている医療法人に委託させるというのですから、何も1社に限定することはなく、高齢者と同じように、自由に選択ができてもいいのではありませんか。

  せっかく再開された制度なのですから、障害者であっても、高齢者と同じように、家族と本人で必要に応じたケアプランを立て、好きな業者にサービス提供してもらうということができてもいいはずです。

  高齢者は、たまたま加齢によって障害が生じた障害者です。障害が生じた理由が違うだけのことで、同じ障害者なのです。私は、身体障害者においても、サービスの選択権は本人・家族にあるという介護保険の理念は踏襲して然るべきと考えるものです。

  何業者かを、サービス提供者として登録させ、その中から、利用者が選択できないものか、以下の3点についてお尋ねをいたします。 

質問要旨1)24時間ホームヘルプサービスはどのように行うのですか。

質問要旨2)介護保険では、利用者がサービス提供業者を選択することができますが、障害者の場合はどうですか。

質問要旨3)高齢者と障害者の垣根を取り払ったサービスの提供を考えませんか。