平成13年3月議会一般質問 | ||
鈴 木 規 子 いよいよ新しい世紀となりました。 今議会は、西尾市長が、新年度に向けてどのような方針で臨み、どのような効果的な施策を打っていかれるのかを、市民の代表者として質す議会であります。ところが、ところが、驚いたことに、議員の本分というべきこの『施政方針演説への質問』が取りやめとなってしまいました。 ただいま、筒井議員の質問をお聞きしましたが、やはり、時間制限のある一般質問で、施政方針演説全般にわたって深めた質問をするのは難しいことがよくわかりました。皆さんも改めておわかりになったことと思います。 私は、今議会では、3議題『学校図書館の充実について』、『男女共同参画社会推進事業への取り組みについて』、『ボランティア支援について』を質問いたします。 これからは「情報の時代」といわれています。情報をいかに的確に手に入れ、そしてそれを消化し、自分のものとするかが課題となりましょう。 特に、教育現場では次代を担う子どもたちに、そうした力、「学ぶ力」を獲得させるのが、大きな役割であります。 21世紀の、少子・高齢化、情報化、国際化など急激に変化する社会に対応できる人間の形成、すなわち、豊かな感性や想像力に富み、柔軟な思考力や判断力を備え、責任を持って問題解決できる能力の育成を主眼とする教育が強く求められているのです。 文部科学省は、そうした視点から、来年度からの新指導要領では、読書指導や「総合的な学習の時間」をはじめ、各教科の指導で「調べ学習」が取り入れられることになります。子どもたちが、より主体的に、調べ、考えながら、一定の結論を導くことが学習の主流となっていくわけです。 こうした新しい教育の展開は、学校図書館の充実なしには成立し得ません。これまで以上に、学校現場での図書館の役割が重要となりましょう。本来、学校図書館は、読書を通じて想像力を広げ、考える力を養い、同時に「学習・情報センター」として、主体的な学習・問題解決型の学習を支援する能力をもっているのであります。 ところで、現状の西尾市での学校図書館は、これら学習に充分に対応できるものとなっているでしょうか。 学校図書館が本来の役割を充分に果たすためには、「施設」「資料」「人」の3つの要素が必要です。 施設面からいえば、図書館が学校の中心にあり、いつも開いていること、魅力ある本や資料が分かりやすく配置してあること、ゆったりした学習スペースがあること、そして、貸し出し・返却はコンピューター化で迅速に、かつ、個人の情報が守られる仕組みであることが求められます。 資料面からは、当然のことながら、読書センターとして必要な資料として絵本や物語の本が揃えられ、学習・情報センターとして辞書や図鑑、事典など、常に最新の情報が整えられていることです。このためには、公立図書館のバックアップも欠かせませんね。 そして、それら施設と資料を充分に活用するために、重要なのが、人の配置です。学校図書館に必要な「人」として、司書と司書教諭の存在が欠かせないのです。すなわち、サービスを提供する「本の専門家」としての司書、そして図書館を使った授業を研究し広める「教育の専門家」としての司書教諭です。授業を充実させるための機能を考えた時、この2つの専門家が協同してこそ、学校図書館がフルに活動するといえましょう。 現在、市内には16校に図書館ボランティアの皆さんがおられ、子どもたちに読み聞かせをして下さるなど活躍していただいています。誤解のないように申し上げますが、これら授業に関する部分は、ボランティアさんには要求できないところであります。 ご承知のように、学校図書館法が改正され、平成15年3月末までに12学級以上の学校には司書教諭を置かなければならないと定められました。 本市では、この司書教諭配置について、どのように準備をすすめておられますか。当然のことながら、司書教諭は専任でなければなりません。いつでも開館し、子どもたちの質問に応え、本を整備し、学年・学級毎の調べ学習に即した資料の整備などなど、その仕事の質と量を考えた場合、学級担任を持ちながらでは、到底できるものではないことは、現場をよくご存じの教育長は十二分にお分かりの筈です。 幸い、本市では12年11月現在、司書7名、司書教諭41名と、他市に比べ多くの有資格者がおられるとのことです。どの学校にも配置は可能でありますので、それをさらにどのように充実したものになさるのかを伺います。 さて、図書購入のための予算ですが、年々少しづつはありますが増えていたものが、昨年は『子ども読書年』であったにもかかわらず、2割もの大幅カットでした。国は、図書整備費として総額110億円の地方交付税措置をしており、1学級当たりに換算すれば小学校で1万8千円、中学校で3万7千円の増額ができたはずですので、これは納得できない減額です。交付税措置は、市町村で采配できるのですから、教育委員会がさぼっているとしかいえません。でなければ、市長の認識不足ということでしょうか。新年度も、この図書整備費は同様に国に予算づけされておりますので、これを挽回する措置を期待するものであります。 また、学校図書館をバックアップする存在としての公立図書館の役割も非常に重要です。限られた予算の中で、資料図書を最大限に活用するためには、学校図書館で賄えない分を公立図書館が補い、団体貸し出し制度を利用することでしょう。検索システムの整備や、貸し出しのための配送は図書館本来の業務でありますから、これらのネットワークをどう構築するかは急務です。 また、図書館ボランティアの方々には、現在、新着図書の受け入れや、読み聞かせなどに活躍していただいていますが、交流や研修の機会はないままです。これからも引き続き頑張っていただくためには、皆さんの善意に甘えるばかりでなく、きちんとした支援体制を整えなければなりません。支援体制があってこそ、子どもたちのために、一定のレベルでの活動をしていただくことにもつながります。先進市では、ボランティアから司書になられた例もあるとききます。 子どもたちの読書離れ、国語力の低下が叫ばれて久しい今日、市長が常々おっしゃる「教育は百年の大計」とのお考えをぜひ具体的に表していただき、学校図書館の充実のための具体策を示すご答弁をいただきたいと思います。
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質問要旨 2)司書教諭の全校配置と発令、それに伴う授業時間の軽減はどのようにすすめる予定ですか。 3)総合学習の本格導入に向けて、関連図書購入のための予算は増額されますか。 4)市立図書館と各学校のネットワーク化はどのようにすすめる予定ですか。 5)図書館ボランティアの現況はどのようですか。 6)ボランティアの交流・司書研修を積極的に行うべきではありませんか。 |
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では、2議題目の『男女共同参画社会推進事業への取り組みについて』に移ります。 昨年秋、第30回市政世論調査結果が行われ、先日2月1日号の広報にしおに、その調査結果が発表されました。その中には男女平等についての設問が15題52項目にわたって含まれておりました。 市長は、一昨年9月議会で、私がおききした「西尾市における男女共同参画社会の推進」について、他市に遅れた西尾市の現状を認識したうえで、その必要性を認められ、事業推進の第1段階である「アンケート調査」を早速に実施されたことは、誠に結構なことと存じます。ここに現れた市民要望に、例えば、駅近くに乳幼児保育施設の開設など、すぐにも実行していただくべきものが含まれているのは、なお、調査に意義があったといえましょう。 基礎資料となる、このアンケート調査を見てみますと、本市でも、生活の中のいろいろな場面で男性の方が優遇されていると感じている人が多いことがわかります。 《社会通念・習慣や風習》で74%、《政治の場》の73%、《職場》での68%、そして《家庭生活》《地域社会の場》など一般生活でも6割以上の人が男性優遇を感じています。この割合は全国調査と比較しても高く、西尾市は『男性優遇社会』であるといえます。 また、「夫婦の役割分担の理想と現実」を見てみますと、家事・家計の管理とほとんど妻任せの実態が浮かび上がってきます。《子どものしつけ》は4割、《老親の世話・介護》は3割にと共同で行う割合が増えますが、「それぞれ理想はどうか」との問いに対して、「共同で行いたい」が8割に達しているのに比べると、ここでも現実と理想にはギャップがあり、家庭のことは妻の仕事という性別役割分担意識が大きいことがわかります。 職場でも、やはり女性には、まだまだ不平等な慣例や待遇があります。 《お茶くみや掃除》《昇進・昇格》では、男女差を感じている人が3割以上あり、《基幹的な業務に女性を配置しない》ことも多いようです。法的には男女の就業の機会は均等に与えられているのが前提の筈ですが、現実の職場では明らかに男女差があることがわかります。特に男性においては、女性は補助的な仕事をするものという意識が大きいようです。 地域社会活動における男女不平等については、男女とも2割以上の人が「ある」と答えています。 この基礎調査から見ていくと、わが市の男女平等意識・現実とも決して高いとは言えないことがよくわかります。昨年11月、発表された『県内88市町村の男女共同参画度ランキング》で、西尾市が市部の最下位とされたことと、まさに一致をするわけです。 このランキングでは、各種審議会のうち女性委員がゼロの割合が52%で78位、女性委員の登用率で88位となっています。この登用率については、実際と異なっているとの担当課の弁でしたので、改めて確認してみましたが、その率は8.4とのことですので、訂正をしてもなお、残念ながら順位は84位にとどまります。重ねて申しますが、88市町村中の順位です。これは、女性の意見がいかに市政に反映される機会がないかを表すものであることを、市長に、しっかり認識していただかなければなりません。 今年度、本市では勧奨退職などもあり、3月末には19人もの大量の幹部職員が退職します。私は、この機会にぜひ、女性を多く、幹部職員として登用いただき、施策に生活者としての女性の視点を反映させ、また、市民の声の届かない分を補っていただきたいと考えるものです。 男女共同参画の理想とするところは、現在、社会的弱者である女性にとって生活しやすい社会は、また、男性にとっても生きやすい社会であるということです。男女が、家庭に仕事に、お互いに支え合い、助け合っていく生き方は、「男は仕事」とばかりに追い立て、過労死につながる現代社会を改革するものなのです。 そこでお尋ねします。市長におかれては、この世論調査を充分に分析して、新年度の主要事業に「男女共同参画社会推進事業」を入れておられることと思います。これは、わが市を『男女共同参画都市』とするための次のステップである「女性プラン」策定のための過程と理解いたします。ごく具体的にお答えいただけるものと期待して質問いたします。
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質問要旨 2)男女共同参画社会庁内推進委員会はどのような取り組みをするのですか。 3)男女共同参画社会の構築に向けて、講座等、市民にどのような働きかけを行いますか。 4)市部で最下位といわれる西尾市の女性登用率の低さをどのように向上させますか。 一定の割当制を採用するべきではありませんか。 5)職員の大量退職に伴い、女性の幹部登用はどのように行いますか。 |
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では、3つめの議題『ボランティア支援について』伺いますが、ここでは、宅老所ボランティアに絞って質問いたします。新年度事業の地域介護支援事業と併せて、答弁していただくようお願いいたします。 昨年から、本市では、ボランティアによる宅老所が4ケ所も開設をされ、独り暮らしのお年寄りが茶のみ話をしながら半日を過ごす場所として楽しみにされているのは、大変喜ばしいことです。 ボランティアは、保健推進員のOGや婦人会の方、また一般の方々とさまざまですが、どなたも、「この西尾が安心して老いを迎えられる『まち』になるよう、自分たちでできることはしましょう」と活動していて下さると伺っています。大変にありがたいことと思います。 ボランティア都市を宣言された市長は、こうした善意の市民の「願い」にどう応えられるのか、安心して老いを迎えられるまちづくりを、どのように具体化されるのでしょうか。 介護保険制度が始まり、お年寄りが心安らかに在宅で介護を受けることができるように、家族介護の負担が軽くなるように、多くの市民が願っているところです。しかし、介護保険の対象外になった方々、独り暮らしのお年寄りに対する、市としての対策は充分といえるでしょうか。独り暮らしだけでなく、夫婦二人暮らしであっても、老人世帯では、いつ何が起こるかわかりません。こうした「要介護予備軍」の方々に、いかに、元気に、予備軍のままでいていただくかが、重要課題であります。 宅老所の設置は、ひとつの方策ではありますが、ボランティアの方々の力に頼るだけでは明らかに限りがあることが問題です。また、自立老人だけでなく、要支援老人、要支援と判定されながらサービスを使っていない方には、より支援が必要なはずであるにも拘わらず、現実には、ほとんど何の手立てもないのではありませんか。 私は、もっと、市独自の通所サービス、デイサービスを増やさなければならないと考えます。市は、せっかく毎日実施していた喜楽荘でのデイサービス事業から撤退を決めています。ミニデイサービスを新たに始めたものの、毎日型ではありません。実質は、利用減の状況であることでよしといえるのですか。 議題1の図書館ボランティアについても言いましたが、市民ボランティアに自由闊達に、かつ、一定のレベルを保ちながら、継続して活動をしていただくためには、行政のサポートと研修の機会が欠かせないのです。 市長は、財政難を理由に、ボランティアの下支えによって、各種事業の人的不足を補おうとしておられるとは思いませんが、目先の欲や、「ボランティア宣言都市」という耳触りのよさにのみとらわれては、せっかくの市民の力・民間活力をそぐことになりかねません。ボランティアを行政の下働きにしてはならないのです。ボランティアと行政に必要なのは、あくまで「協調」、共に働く「協働」の関係です。 そこで、お尋ねいたします。 |
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2)本来、市の仕事である介護予防策をボランティアに任せるだけでよいのですか。 3)週1回の宅老所の開所形態を毎日型にしていくべきではないのですか。 4)ボランティアへの支援体制をもっと強化すべきではありませんか。 5)ボランティアをNPOに転換させていくための支援をするべきではありませんか。 ボランティア・市民活動支援センターでは、このための支援をどのように進める計画ですか。 |
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以上、3議題16項目、新年度事業にかかるものも含めて質問しております。意欲的なご答弁を期待して、登壇による質問を終わります。 |