2000年 3 月 議 会 一 般 質 問 | ||||
鈴 木 規 子 2000年当初の3月議会にあたり、私は、@バス運行計画について、A障害者および高齢者など交通弱者への移送サービスについての、2点についてを質問いたします。 皆さんご承知のように、平成9年6月の名鉄の赤字バス路線休廃止通告に伴い、市では関係各機関と名鉄に存続要望を重ねてきたわけですが、平成10年4月には碧南線が廃止となり、寺津線・一色線・平坂中畑線・三和経由岡崎西尾線の4路線も運行はしていますが、いずれも運行本数が減っています。一家に車が2台3台の時代と言われるなか、西尾市は県内でもマイカー普及率の高さは有数ですし、また民間交通機関の競合もないことから、「乗る人が減る」「料金が高くなる」「運行本数が減る」の悪循環でバス離れがすすみ、今日に至っています。 バス離れ自体は全国共通の問題でありますが、これをこのまま放置するわけにはいかない現実にどう対処するかであります。 私もバスを見かける都度、何人位の方がのっておられるのかを数えるのですが、2、3人だったり1人も乗っていなかったりのことが多いのです。市の調査によれば、平均乗車数は寺津線が4.7人、平坂中畑線が4.8人、三和経由岡崎西尾線が3.8人とのことです。5人以下の路線が補助対象とされており、現在、欠損額の2/9が県、3/9が名鉄、4/9を市が補填しています。平成11年度の補助額は2120万円余であります。 しかし、公共交通の保障は行政の仕事として欠くべからざるものであります。車を持たない市民、お年寄り、子どもたち等移動手段を持たない方々の足を最低限確保すること、都市間交流の確保は使命と言わなければなりません。 また、これまでの大量生産大量消費型社会を象徴するマイカー増大による交通渋滞や、排気ガスによる大気汚染をいかに防ぐかも、行政がリードすべき課題です。パーク&ライド方式による市街地への自動車の流入規制など、環境面から公共交通を捉らえ直す試みが各自治体で展開されています。トヨタ自動車のお膝下である豊田市ですら、です。 このバス運行の問題は、単に、バス事業者が撤退するからそれを補完するというだけの、いわば「後ろ向きの発想」ではなく、トータルな交通政策・環境政策として捉え直す「攻めの発想」に切り替えることが必要ではないでしょうか。 お客が少ないから本数を減らす、値段が上がる、ますますお客が減る、この悪循環をどう改善するのかを最大のポイントとしなければなりません。利用率を高めるための投資には積極的に取り組むべきです。 料金については受益者負担の原則は当然ですが、現行料金のままでは利用率はよくて横ばいでしかなく、新たな利用客は見込めないのではないでしょうか。市が独自事業として始めるメリットは、まさに市独自のサービス提供ができることです。新たな市場開拓の可能性を最大限に生かさなければなりません。 市は、平成10年から「西尾市バス対策協議会」を設置して協議を重ね、昨年度からは「西尾市バス運行実行委員会」を設けて『市民の足』存続についてを協議してこられました。 平成13年の規制緩和、需給調整規制廃止に向けて、いよいよ名鉄はこれらの路線を廃止対象とし、赤字補填あるいは第3セクターでの運行を求めています。 バス路線をどのように確保し、生活交通手段を持たない市民の期待に応えていくのか、市長のお考えを具体的にお示し下さい。 平成13年4月からの運行をめざして計画決定のタイムリミットが迫っております。単に協議中という答弁ではなく、市長としての現状分析と、『運行計画』の方向性を示し、特に「利用率を高める」方策について的確にご答弁いただくよう求めます。 |
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1) 西尾市バス対策協議会による巡回バス方式の業務委託試算は、私鉄バス1社のみによるものでしたが、規制緩和の折りからタクシー会社・運送業等他の業種も含めた再試算は考えませんか。 |
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質問の2点目は、障害者および高齢者など交通弱者への移送サービスについてです。
モータリゼーション社会の特徴としていわれるのは、自家用車を始めとして「自分で移動の手段を持つ人」と「持たない人〜交通弱者」との極端な二分化です。移動手段を持たない人は、ますます家に閉じこもらざるを得ない状況がつくられてきましたし、さらに加速されていると言っても過言ではありません。 先に述べたバス対策検討委員会のアンケートでも、買い物・通院の足を尋ねますと、老人クラブでは自転車が26.3%、家族の自動車26.3%、身障者では自転車が25%、家族の自動車が36.4%でした。 まして重度の障害のある方や、歳をとることによって障害が生じた高齢者の場合、独り暮らしや夫婦ふたりだけの高齢世帯などでは、人に頼むしか方法がありません。 21世紀に目標とすべき福祉社会は、障害のあるなしに拘わらず、誰もが可能な限り普通の生活を送る権利が保障される社会です。 できるだけ自立を支援すること、そして日常生活を送るに支障がある部分には速やかに援助するシステムづくりが必要です。 まさに市長がおっしゃる『笑顔があふれるまちづくり』に欠かせないシステムと言えましょう。 ガイドヘルパー派遣制度は、特に障害の重い方とその家族を支援するため、身体障害者居宅生活支援事業の一環として始められ、県内市町で実施されているものですが、なかなかヘルパーが確保できないきらいがあるようです。 また、4月開始の介護保険制度の実施にあたっては、要介護者を増やさないための予防策として、市町村独自のサービスに「移送サービス」を含めるよう介護保険計画策定委員会でも提言がなされてきたところです。 ホームヘルパーによる家事援助は、この2月1日の自自公連立政権の「介護保険見直し発言」によってさらに利用者が限定され、@独り暮らし、A高齢者夫婦のみの世帯 B高齢者と同居している家族が障害や病弱などとされています。 要介護の方はもちろん自立や要支援と判定された方にも、出来る限りそのまま元気でいていただくためには、家に閉じこもりにならないための条件づくりが不可欠です。家族のいるいないに関係なく、その人その人の状況に応じたサービス提供が介護保険の基本方針でもあったはずです。 通院や公的機関に出向く場合などはもちろんですが、移送サービスを通常の生活手段として捉え、有料の『契約制』を導入を採用すべきです。ある程度の受益者負担は当然ですし、利用者は「使い勝手のよさ」が要求できるのですからサービス水準も上がることになり、納得もしていただけるのではありませんか。 市として「移送サービス」の重要性、また、その位置付けをどのように考えられるのか伺います。 今後の需要について言えば、自主的個々的にボランティアに任せてして済む数量でないことは明らかではありませんか。NPO組織の人材バンクで対応することを考えませんか。 NPO市民サポートセンターの活動も始まる折りから、有償の移送サービスは、サービスを提供する側にも「生きがいと収入」を同時に保障することに繋がるのではありませんか。 |
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1) ガイドヘルパー制度の利用状況、同ヘルパー養成の計画はどのようですか。 2) 社会福祉協議会のガイドボランティアの現状と利用状況はどのようですか。 3) これらを統合して、利用者・サービス提供者ともに登録制の「有償の移送サービス制度」を考えてはどうですか。 4) 「有償の移送サービス」のため、退職後の男性・企業労働者・主婦を主戦力とする『人材バンク』をつくることを考えませんか。 5) 障害者と高齢者の垣根を取り払った『サービスの提供』を考えませんか。 |