1999年6月議会 一般質問 | ||
@ 介護保険の準備状況について A 駅西再開発事業について 質問第2、1. 介護保険の準備状況等について、2. 駅西再開発事業について、以上2件、鈴木規子さんの質問を許します。 〔1番 鈴木規子 登壇〕 ◯1番(鈴木規子) 私は今議会に当たり、このところ市民の関心の特に高い2つの項目、駅西再開発事業について、そして介護保険についてを質問します。 介護保険については第2弾です。3月議会に十分なお答えがいただけなかった、準備状況と予防的措置について伺います。 介護保険については、この4月から福祉部に新たに介護係を7人体制で設置され、担当係全員がそれぞれ懸命に準備をしておられることに、まずもって敬意を表します。 事業開始は来年4月、それに先立つ認定作業はこの10月から始まることとなっており、今議会には介護認定審査会の共同設置についてが上程されているところです。ことし10月から来年4月までの6カ月の間に市がこなさなければならない作業として、サービスを希望する人の申請に対する訪問調査、認定審査、ケアプラン作成があります。3月の答弁では、対象者は訪問調査と認定審査が約 3,000人、ケアプラン作成は約 1,800人ほどとなり、延べ 1万 5,300時間が必要とのことでした。 昨年秋に行われたモデル事業、西尾市では10例とのことですが、ケアプラン作成1人につきおよそ 8.5時間かかったとのことです。これは、その内容を考えれば当然の時間数だと思います。必ずしも9時から5時には終わらないであろう家族との面談、調整、申請者宅への行き来の時間まで考えれば少ないぐらいかもしれません。4カ月後の本番を控え、準備が間に合うかであります。 この延べ必要時間 1万 5,300時間を6カ月のうち年末年始を除いた約20週で割り、さらに市がおっしゃるケアマネージャーの予定数25人で割ると、1人週30.6時間になります。今、フルタイムで働いている人が、それに加えてケアプラン作成のため、さらに1日6時間以上働けるのでしょうか。充足できるといっても形式上できるだけで、実質できないのではありませんか。現状で、できるのはよく見て半分、1日3時間程度ではないでしょうか。ケアマネージャーは、予定の倍必要なのではありませんか。 さて、制度は動き始めようとしているわけですが、連日、新聞やテレビで報道されているように、このほかにもさまざまな問題点も指摘されております。それらについて、西尾市ではどのように対応していくのかを考えていかねばなりません。 まず、必要な方に必要なサービスを適切に届けていけるでしょうか。モデル事業では、厚生省の基準サービスに照らして要介護度の認定がされたわけですが、これまで措置対象としてサービスを受けていたけれども、今後は受けられなくなるという人が全国に4万人あるとのことです。従来よりも、どうしても軽めに判定される傾向が強く、これまで受けていたサービスがなくなるという方々を市としてどのように支援するのかが心配されます。 では、どれだけのサービスを提供するかですが、厚生省が基準としたサービスだけではなく、そこに本市独自に基準サービスの量をふやす上乗せサービス、また基準以外に種類をふやす横だしサービス、例えば24時間ホームヘルプサービスや 365日の給食などですが、この上乗せ、横だしを充実させることが、まず求められます。どれだけサービスの量と質、予防的サービスをふやせるかであります。 そして、決め方としては最初に保険料ありきではなく、あくまで西尾市に必要なものを整えていくことから導き出される結果としての保険料であり、サービスであることを基本にすべきなのは言うまでもありません。市として、どのように介護保険のサービスを整備していくかをお示しいただきます。7月には決定しなければならない事項ですので、当然、既に試案はおありのはずです。介護保険事業計画策定委員会でも議論されますが、ここでは有識者、専門家、そして市民代表がテーブルを囲んでおられますので、利用者の立場が提言され、内容に反映されるものと期待をしています。 さて、判定について言えば、申請された方々について正しく判定がなされることは当然でありますが、この点で懸念されることも幾つかあり、公平で公正な判定となるのか。痴呆の方は実質最重度レベルと考えられるが、どのように判定されるのか。不服申立の権利はどうかなど、私のところにも心配をする市民の声が届いております。介護保険の充足度は、各自治体の持つサービス提供量、施設の整備状況にも大きく左右されることですから、多くの方がサービスを受けられるようにする努力と、当面、枠から外れた方々をどう支えていくかは、まさに市町村の責任として重いところであります。 また、すべてを介護保険で網羅できるわけではありませんから、給付対象とならない方への予防的サービスも含めて市町村特別給付と保健福祉事業をどう充実させていくか、ここも大きな課題です。 介護保険は国の医療費を抑制するために導入されたものであることは皆さんご承知のとおりではありますが、そういった難しいことではなくても、元気で楽しく長生きして、お迎えが来るその日まで寝込まない生活、これはだれもが願うことでありますから、それを実現するためにどうすればいいのかをポイントに考えれば、本当に必要なサービスは見えてくるのではないでしょうか。例えば、脳血管系疾患で障害が残った場合、これまでの介護は安静第一と考えられてきましたから、自宅に帰っても勢い寝たままの生活となります。あっという間に寝たきり老人のでき上がりです。寝たきりから痴呆へは、これまた時間の問題ですから、何としても寝たままにしない工夫が必要です。病院にいる間から寝たままで生活しないよう教育講座のようなものを設けて、本人にも、家族にも理解を求め、帰宅した後は食事にしろ、トイレにしろ自分でできることをふやす。そして、リハビリやデイサービスを利用し、話し相手や友達をつくる。これで、ご本人の状態は精神的にも、物理的にも飛躍的に改善されることは既に証明されております。 私自身も多くの実例を知っていますが、予防的措置の重要な要素は、その方と社会とのつながりを失わせないことといえましょう。そのためには、身近な歩いて行ける距離にリハビリやデイサービスの場所がいるのです。今から建物を建てるお金はないのですから、あるものをうまく活用するのが知恵と工夫、努力の見せどころです。市が頑張って予防的措置を充実させ情報を提供することによって、市民みんなが困ったときには権利としてちゃんと使える介護保険がある、だから老後は安心できる。でも、使わないで済めばもっといいと身をもって考えてくださるようになれば、お迎えが来るその日まで元気な市民がふえていくのではないでしょうか。在宅で、これから要介護度5の場合月35万円、施設入所では46万円が支給されると言われていますが、みんなで元気になれば保険料は将来的には抑制の方向へも向かうでしょう。みんなで寝たきりになるのと、みんなで元気になるのとの違いを想像してみてください。みんなで元気、これが本来望まれていた高齢社会への対策であったはずです。そのための介護保険であるはずです。 介護保険についての諸問題は、法律上の問題点であったり、制度上、運用上、また本市の状況によって生じる問題であったりするわけですが、ともかく問題があれば今どうそれを克服するのか、あるいは補うのかに知恵を絞るのが保険者である市と、制度の根拠を決定する本議会の使命であると私は認識をしております。その意味で介護保険制度は、これから始まる地方分権時代の最初の試練と言ってもよいでしょう。 市長は、昨今の一部自民党の介護保険導入の先延ばしの風潮に期待などしてはなりません。もし先延ばしなどすれば高齢者や介護をする家族を初め、国民の期待を裏切ることになって、それこそ次の総選挙で自民党が大敗することになることは明らかで、そのような愚かなことは自民党も政府もしないと思われるからです。 そこで、次の14点について、市長には私が申し上げたこれらを踏まえて明快にお答えをいただきます。 |
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1、25名必要といわれるケアマネージャーは、本当に確保できるのですか。 2、モデル事業での要介護の判定例では、そのモデルが従来受けていたサービスを受けられなくなるようなことはありませんでしたか。 3、上乗せ、横だしサービスについてはどのようなものを、どの程度考えていますか。 4、介護にかかる時間で、要介護度が判定される状況の中で、必ずしも時間換算ができない痴呆の方への支援はどうするのですか。 5、情報弱者であるお年寄りの中でも、特に独居老人、ひとり暮らしの方はその最たるものですが、介護保険の利用方法の周知にはどのような方策を考えているのですか。 6、これまでのサービス受給者で要介護認定から外れる方には、どのような支援を考えていますか。 7、自立と判定された高齢者を将来も要介護老人にしないための方策が重要ですが、どのような具体策を考えていますか。 8、保育園や学校の空き教室を利用してデイサービスを実施してはどうですか。 9、町中の民家を活用して、宅老所(グループホーム)を開設してはどうですか。 10、県内各地に民間の宅老所ができていますが、市内にそうした施設ができた場合、その活動を支援することは考えませんか。 11、要介護状態にならないために有効な機能回復訓練教室、リハビリ教室をふやすべきではありませんか。 12、お年寄りの退院前に病院と関係機関が連携し、退院直後の生活と機能回復訓練を支援するシステムをつくって要介護老人をふやさないようにする必要があるのではないですか。 13、不服申立については、市は窓口を設け、保険者として責任ある対応をすべきではないですか。 14、介護保険サービスを一定期間受けない人には、保険料が割り引かれる制度を導入すべきではないですか。 |
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では、議題2に移ります。駅西再開発事業についてです。 駅西再開発事業については、昨年、ことしと計画の具体化へ向けての動きが活発になっております。このほど、広報では将来図が発表されました。再開発そのものについては、ここ20年来の悲願ともいえる事業であり、私も地域住民の1人として西尾の玄関が整備されることを望んでいるところです。ところが議員となって、この3月の特別委員会にオブザーバーで初めて出席して驚いたのは、第三セクターで行う事業についての情報が、この時期であるにもかかわらずいかにも少ないことでした。各地の第三セクター事業は行政の信頼頼みの安易な拡大策で、バブル崩壊と昨今の景気低迷で立ち行かなくなるケースが多く、つくったはいいけれど金食い虫でお荷物となり、論議の的になっているのは皆さんもご承知のとおりです。 破綻した第三セクターは、昨年からことしにかけて全国で33社に及んでいます。特にホテル事業については、岐阜県美濃加茂市、春日井市と、近いところでも問題が起きています。美濃加茂市では、事業見通しの甘さによって赤字が続き、税金から10数億円補てんし続けたものの、どうにもならずに昨年11月経営破綻、結局、市が買い取ったとのことです。春日井市では、この秋、90室で開業予定を目前にホテル運営のノウハウを提供する親会社の大阪ホテルプラザが廃業し、混乱が報道されたのは記憶に新しいところです。どちらも西尾市とは若干形態に違いはありますが、問題点として共通しているのは、計画立案から経過を含めて、そのときどきの事業に関する情報が正しく市民に公開されていないという1点であります。 私は、必ずしもホテル建設に反対をするものではありません。しかし、この税収が落ち込み景気も回復しない時期に多大な税金を投入することについては、大いに疑義を感じております。県の補助金も30%カット、この対象となりました。この際、きちんと状況を整理し、見直すべきところは見直しをすべきではないかと考えるものです。 第三セクター事業の問題点は、開始をしたら最後、経過のチェック等がなく、企業としての経営感覚からはかけ離れた資金の調達補てん、税金の投入がなされることです。西尾市の経緯で見ますと、例えば平成7年3月の駅周辺整備特別委員会では、市の見解として「名古屋に対して、西尾市に客の集まるような地域がないと需要ができてこない。それから、懸念をしているのが名古屋のJRツインビルである。名古屋まで40分から50分で行けるなら、西尾に余り立派なものをつくってもどうか」と言っておられます。また、この時点で、今までの計画では 120室ぐらいのものをとも言っておられます。 今現在、状況はさらに厳しくなりました。JRツインビルのマリオットアソシアホテルは 780室、平成12年5月開業を予定し、金山駅前にはこの4月、全日空系のホテルグランコート名古屋が 241室で開業しました。さらに、ビジネス系のホテルサンルートチェーンが今年11月、三河安城駅前に 133室のビジネスホテルを開業の予定です。逆に、名古屋の駅前であっても、ちょっと奥まったセンチュリーハイアットは開業以来赤字続きで採算が合わず、今年度中に撤退するという現実があるわけです。市場調査はどうなのか、7年当時の懸念はどの時点で、どう解決されたのか、されなかったのか。さらに厳しくなった現在の状況での見通しはどうなのか。地域のホテルの客室数はふえてホテル戦争とまで言われています。 150室にする根拠はどこからきているのか。今回、進出予定のホテルグリーンズグループの社長が大丈夫だと言うだけでは、市民はとても納得するわけにはいきません。すべてを民間でおやりになることであれば、それは市民の関知したことではありませんが、市が市民の税金を投入する第三セクターだからこそ申し上げることになるわけです。出資計画の見通しはどうなのか、市の出資分ばかりが多くなることはないのか、市民が納得できる合理的なご説明をいただきたいということです。 議会の判断の基準は、市民の税金を使う対象として、その投資対効果ではないかと考えます。その意味において、今回の計画での問題点は何なのか、それをどうすれば解決できるのか。できる工夫があれば、それを具体化すべきではないかということで質問をいたしますので、趣旨をよくよくご理解いただきたいと思います。 先日のテレビ報道での市長発言には市民の多くが怒り、あきれ返っています。この5月20日には、自治省が新たに第三セクターの設立や運営に関する指針を策定しました。会社設立段階で甘い需要予測を立てず、さまざまな事態を想定して事業計画を練るように求めております。さきに登壇されました市長与党である榊原武示さんも、後世にツケを残さない不退転の決意をお述べになられました。市長におかれましては、「やってみなければわからない」という無責任極まりない答弁だけはなさいませんよう、具体的にお答えくださるようお願い申し上げます。 |
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1、この地域でのホテルの需要度や収支見通しについて、市独自の調査結果を持っているのですか。 2、ホテル業者の経営状況は、市としてどのように把握していますか。 3、第三セクター事業体設置の見通しはどうなっていますか。 4、第三セクターの出資者は企業だけに限定せず個人まで範囲を拡大し、広く市民にも参加を呼びかけてはどうですか。 5、第三セクターには、あくまでも事業を推進しようとする市長や議員も出資すべきだと思いますが、どうですか。 6、民間の出資が予定どおり得られなかったときは、計画を断念するのですか。それとも、市がその分を追加出資するのですか。 7、ホテルが採算が合わず撤退したときは、第三セクターは毎年数千万円の赤字を出すことになりますが、その責任はだれがどう取るのですか。その場合にも、市の一般会計から補てんしないと言い切れるのですか。 |
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以上、誠実なご答弁をお願いいたします。 |