1999年3月議会 一般質問 | ||
@介護保険について 質問第3、1. 介護保険実施の準備状況について、鈴木規子さんの質問を許します。 〔1番 鈴木規子 登壇〕 ◯1番(鈴木規子) 介護保険の導入も、いよいよ来年4月に迫りました。事実上の事業開始となる介護認定については、この10月から始められなければなりません。西尾市にあっては、まさに正念場を迎えることとなりました。 このたびの市議会議員選挙においては、候補者の多くが福祉の充実を公約に掲げましたし、また平成10年度10月実施の市民世論調査でも、高齢者福祉の充実は他を大きく引き離して市民要望の第1位になっておりました。介護保険が市民の最大の関心事の一つであることは、明らかであります。 そこで、私は、初登壇となる今議会に当たり、公約の第1番目に掲げた「お年寄りも家族も心に余裕をもって暮らせるまちづくり」実現のために、この介護保険の準備状況について質問をいたします。新人議員が3期目のベテラン市長に対して質問をいたします。いわば、アリが象に取りつくような感があるわけですが、市長におかれましては優しくわかりやすい答弁をくださいますように、まずもってお願いを申し上げます。 さて、ご承知のように、日本は世界に例を見ない早さで高齢社会に突入しています。2025年には国民の4人に1人、2050年には3人に1人が高齢者となる超高齢社会へと、高齢化のスピードは増すばかりです。1950年ごろの我が国の平均寿命は50歳代後半でした。多くの人は子どもを生み育て、末の子が独立した後、おおよそ5、6年でお亡くなりになったわけで、介護される人も、介護される期間も少なかったのです。 これに対し、現在の平均寿命は男性77歳、女性83歳です。ここ半世紀の間に実に30年も長く生きられるようになったわけで、介護を必要とする人の数も、期間も、格段に増加しているのです。同時に、またそれは70歳代の嫁が90歳代のしゅうとめを介護する、どちらが先にいくかわからない、自分ももはや高齢者のお嫁さんは、自分の具合が悪くなっても病院に行くことすらままならないという、いわゆる老々介護、後期高齢者の増加という問題点をも含んでおります。親の面倒は子どもや嫁が見るものだという、これまでの介護のあり方が、もはや物理的に困難をきたす状況になっているのだということを、まず理解の出発点にする必要があります。 昔のお嫁さんは若いうちに数年間、しゅうと、しゅうとめの介護をすれば済んだのですが、今では何10年も自分が高齢者になるまで、いえ高齢者になってもまだしゅうと、しゅうとめの介護をしなければならず、加えて夫の両親だけでなく自分の両親の介護をもしなくてはならない状態なのです。 また、先ほど三ッ谷議員もおっしゃいましたが、少子化と、そしてライフスタイルの変化、その他によって一家族の数は2.85人と少なくなっており、2025年には2.55人に下がると言われております。都市部では既に世帯の過半数が少家族化し、夫婦2人だけか1人だけの単独所帯となっていますし、農村部でも少家族化が進みつつあるのは否めません。もはや、家族愛だけではどうにもならないというのが高齢者介護の現況なのです。このことは、特に男性議員の皆さんはもちろん、市長にも福祉部長にもよくよく認識をしていただかなければなりません。男女を問わず親の介護をするため仕事をやめる人が少なからずおられます。そして、親の介護を終えたころには仕事に戻ることもできず、自分も高齢者となってしまいます。24時間休みなし、いつまで続くかわからない長期間の介護に疲れ、そのあげく親を殺して自殺をするといった事件や、仲のよかった老夫婦の心中といった痛ましい出来事が各地で起こっています。 介護保険制度は、介護の社会化を図ることにより、これらの深刻な問題を解決しようというものです。すなわち、国によれば、第1に介護を社会全体で支える。第2に社会保険方式により給付と負担の関係を明確にし、国民の理解を得られやすくする。第3に利用者の選択により多様な主体からサービスを総合的に受けられるようにする。第4に介護を医療保険から切り離し、社会的入院解消の条件整備を図るなど、社会保障構造改革の第一歩とするというのが介護保険制度創設のねらいです。そのため市町村が果たすべき責任は、この介護の社会化を市民の共通認識とすることであるとともに保険者としての具体的、かつ迅速なサービスの提供と管理をすることにあります。介護サービスを必要としている被保険者には、保険者である市は素早く総合的、効率的な保健、医療、福祉サービスを提供しなければなりません。何しろ、来年4月からは40歳以上の市民は好むと好まざるとにかかわらず、全員月々およそ 3,500円以上もの介護保険料を支払い、さらに介護サービスを受けるためには利用料を支払わなくてはならないのですから、その受けられるサービスが十分なものでなければ市民の皆さんは到底納得してくださらないだろうと思います。 この介護サービスのための施設の開設、システムの構築、そして何より人材の養成は、何をさておいても最優先の課題です。とりわけ要介護度を調査し、ケアプランを作成するケアマネージャーは、いわゆる介護保険制度の要といってよいでしょう。また、サービスの提供に当たっては寝たきりをなくす、すなわち要介護状態の軽減を図るためのリハビリテーションの実施など、予防を重視した内容が求められています。寝たきりの防止、在宅における自立した日常生活の重視こそが、お年寄りにできるだけ終末まで元気に過ごしていただく秘訣だからです。さらに、介護サービス事業への民間活力の参入で、被保険者の選択肢が広がることも期待されています。多種多様なサービスを提供する事業者や施設の参加は、よい競争を生み、市全体のサービスレベルの向上につながるものと言えましょう。 さて、市は保険者として介護保険事業計画を策定し、来年4月からの事業開始に当たっての事業内容を決定しなければなりませんが、そのための介護保険事業計画策定委員会は今月中旬ようやく発足いたしました。保険給付、すなわち介護サービスを必要とする人の数がどのくらいになるかを予測し、5段階に分かれた要介護度それぞれについてどのようなサービスを、どの程度提供するかはこの委員会で検討されるのですが、そこで決定されるサービス内容にどの程度の費用がかかるのか、量と質を勘案して初めて保険料が決定するわけです。介護保険計画の策定に当たっては、介護保険法第 117条5項により、被保険者、すなわち市民の意見を反映させなければならないことになっています。介護保険事業計画策定委員会は、既に3分の1ほどの公募の委員が採用されていますが、さらに広く被保険者である市民の意見を聞く必要があります。介護保険の来年4月実施のためには、保険料徴収と介護認定審査にかかる条例案はこの6月議会には提出されなければなりませんし、要介護度の認定作業は本年10月の開始ですから、本当に残された時間はわずかになっています。 さきの9月議会での鈴木規之議員の介護保険の一般質問に対して、いろいろなことはまだ決まっていないとのお答えであったかと思います。それから5カ月、もう待ったなしの状況です。市としては、実はこれらの点に十分留意して介護保険開始までのスケジュールを立てておられることと思います。市民のだれもが、このまちに住んでよかったと言えるような西尾市にするために、次の14点について答弁を求めます。 |
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1点目、2000年4月の介護保険施行時における介護サービス受給者の数は、どの程度と把握されていますか。平成10年度の一般高齢者調査で数は把握できたのですか。 2点目、介護サービス受給者の要介護度別の人数はどう予測されますか。 3点目、要介護度を判定したり、ケアプランを作成する介護支援専門員、ケアマネージャーの必要数は25名程度とのことですが、それで足りますか。また、確保はできますか。 4点目、昨年9月の介護支援専門員実務研修受講試験では、西尾市内で何名が合格しましたか。そのうち他の仕事を持っておらず、専任で介護支援専門員として働ける人は何人いますか。 5点目、介護支援専門員の教育システム、サポートシステムはどのように確保されますか。 6点目、ことしの10月から半年の間に 3,000人もの人の要介護度の判定をし、 1,500人の人のケアプランを作成しなければならないと考えられますが、対応はできますか。 7点目、介護保険策定のスケジュールはどうなっていますか。 8点目、介護保険事業計画策定について、策定委員会以外の市民の声をどう反映させますか。 9点目、策定委員会を公開している自治体もありますが、西尾市でも考えませんか。 10点目、2000年4月時点でのホームヘルパー、デイサービス、ショートステイの供給量はどの程度で、またそれで必要量の何パーセントを賄えますか。 11点目、西尾市や社会福祉協議会は、介護保険サービスを提供する指定業者になるのですか。 12点目、民間業者がどの程度介護保険サービス事業に進出すると見込んでいますか。また、その確実性はどうですか。 13点目、市としては、今後どのようにデイサービスセンターをふやしていきますか。 14点目、介護認定審査会を幡豆郡三町と共同で行っていきたいという話でしたが、同三町との協議は進んでいるのですか。 |
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市民の多く、特に女性たちは3人寄れば介護の話になるほど自分たちの将来に不安を抱きながら、また不十分な福祉サービスを嘆きながら目の前の親やしゅうと、しゅうとめの介護に頑張っているのです。その分、新たに導入されるこの制度に対する期待には実に大きなものがあります。ベテラン市長の誠実なる答弁を期待して、新人議員規子の登壇による質問といたします。 |